【解説:通貨ベーシスとは】スプレッドのコンベンション、定義、仕組み

要点

通貨ベーシスのマーケットクォートのコンベンションは、JPYの場合、

(USD LIBOR 3M) vs (JPY LIBOR 3M + Xccy Basis)

となる。重要な点は以下の通り。

  • USDの反対サイドにベーシスが乗る
  • テナーは両サイドとも3Mなので、JPYなど標準テナーが6Mの通貨の場合は、テナーベーシスを考慮する必要あり
  • USDの反対サイドはConstant Notional、つまり元本は約定日のスポット為替で定まる金額で固定
  • USDサイドはMtM (Mark-to-Market) Notional、つまり元本は3MごとにLIBORのFixing日のスポット為替レートで洗い替える
  • 通貨ベーシススワップの担保がUSDであるとの前提で通貨ベーシススプレッド (Xccy Basis) が計算されている

MtM (Mark-to-Market) 通貨スワップとは

まず、MtM Notionalは、利払い1回(満期3M)のUSD変動利付債を、3Mごとに市場のスポット為替レートで約定し続けることと同じである。JPY元本は一定なので、

・USD元本=JPY元本÷スポット為替レート

の式に従って、スポット為替レートの変化により、USD元本も変化していく。

シングルカーブの世界においては、MtMのUSD LegはPVがゼロとなる。

・t=Spotで元本を払い、t=3MでLIBORの利息と元本を受け取る

という利払い1回の取引が、シングルカーブでは時価ゼロなので、
それを何回も繰り返すだけのUSD Legは PV = 0 である。

しかし、マルチカーブにおいては、ディスカウントカーブ(OISカーブ)とプロジェクションカーブ(LIBORカーブ)との差がPVとなって出てくる。

ドル担保前提の通貨ベーシスしか観測できない

次に、マーケットクォートはUSD担保前提のものしかなく、JPY担保や無担保前提のクォートがないということが重要である。

マーケットの通貨ベーシスからは、USD担保のJPYディスカウントカーブは作れるが、JPY担保のUSDディスカウントカーブは厳密には作れないということになる。

また、無担保の通貨スワップや、無担保の外貨スワップなど、外貨キャッシュフローを無担保前提で評価するには、無担保前提の通貨ベーシスが必要になるが、そのようなものは市場から取得できない。

よって、担保通貨が、キャッシュフロー通貨とは異なり、かつ、USDでもない場合において、外貨のディスカウントカーブを作るには何らかの仮定を置く必要がある。

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