レンジアクルーアル債と逆イールド

レンジアクルーアル債のうち、ドルのCMSスプレッドを参照する商品が、逆イールドでほぼゼロクーポンになってしまう恐れがある。

レンジ・アクルーアルは、参照する指標が所定の上下限のレンジに収まっている日数に応じて、クーポンレートが決まる商品で、よくあるのはCMSスプレッドを参照するものだ。
 
これに早期償還が付いたコーラブルCMSスプレッドレンジアクルーアルは、よくある金利系商品の中では最も複雑な部類に入るため、評価するにはかなりファクター数の多い金利モデルが必要になり、金利系商品開発の現場ではラスボス的な扱いになっていた。
イールカーブ全体をモデル化できてかつ、期間の異なる金利間の相関を細かくコントロールできるLiborマーケットモデルやその派生型を用いることになる。
 
レンジアクルーアルは、指標がフロアを超えており、かつ、キャップを下回っている営業日数だけクーポン支払いが発生する。
これはつまり、デジタルオプションを日数分トレードしているのと同じである。
 
これのCMSスプレッド版ともなると、CMSスプレッドのデジタルオプションになり、かなり複雑だ。
デジタルオプションはコールスプレッドの形で評価するが、ただのデジタルオプションでもリスク値が不安定になりがちなのに、CMSスプレッドともなれば、かなりきめ細やかなリスク管理が求められる。
 
CMSスプレッドは20Yスワップ金利と2Yスワップ金利の差分、というようにイールドカーブの傾きに依存するクーポンで、レートに上限と下限がついていることが多い。下限はたいていゼロ近辺である。
すると、スワップ金利の差分がマイナスになると、ほぼゼロクーポンになってしまう。
 
ドルのゼロレートカーブを見ると、5Yくらいまで右肩下がりで、そこからV字に上昇するような形になっている。短期から中期ゾーンにかけて逆イールドになっているのである。
このような状況では遅かれ早かれCMSスプレッドがマイナスになってもおかしくはないだろう。
 
もっとも、最近のストラクチャーではCMSスプレッドにプラスのスプレッドを足したものがクーポンになっているものも多く、すると、その足されているスプレッドの分だけ、CMSスプレッドがマイナスになってもいいことになる。

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