テナースワップとは

テナーベーシススワップ

テナースワップとは、通貨は同じだが期間の異なる変動金利を交換するスワップである。テナーベーシススワップということも多い。

重要なのは、変動金利を交換するのだが、その片方の変動金利には固定のスプレッドが載る、ということである。このスプレッドのことをテナーベーシスとかテナースプレッドという。テナーベーシスは期間の短い変動金利のサイドに乗る。

変動金利の参照期間のことをテナーと呼ぶ。テナースワップは、異なる期間の変動金利を交換するスワップだが、言い換えると、テナーの異なる変動金利を交換するスワップだから、テナースワップやテナーベーシススワップという。

ここで、金利のテナーにはいろんな意味があるので注意が必要だ。以下の過去記事を参照のこと。

いろんな種類のテナースワップ

よくあるのは3か月の変動金利と6か月の変動金利を交換するスワップで、スリーシックスという。「3s/6s」などと書くこともある。JPYの場合であれば、JPY LIBOR3MとJPY LIBOR6Mを交換するスワップのことである。スリーシックスであれば、テナーベーシスは3Mのサイドに乗る。このスプレッドのことを3-6スプレッド(スリーシックススプレッド。さぶろくスプレッドと呼ぶ人もいたりする。)という。

スリーシックス以外にも多くの種類があり、例えば、
・ワンスリー:LIBOR1MとLIBOR3Mを交換するスワップ
・ワンシックス:LIBOR1MとLIBOR6Mを交換するスワップ
などがある。

例えばスリーシックスで3Mの受けであれば、通常は、
・LIBOR3Mを3か月ごとに受け取る
・LIBOR6Mを6か月ごとに支払う
というように、受け取りと支払いの頻度が異なる(よって合計回数も異なる)ことになる。

しかし一部の通貨では例外的に、3Mのサイドは3Mの金利を複利でロールした結果を6か月ごとに決済する、というイレギュラーなパターンもあるので注意。

テナースワップの使い道

テナースワップは何のためにあるのかというと、非標準的なテナーの変動金利を標準的なテナーの変動金利に変換するのに用いる。

まず前提として、変動金利には、通貨ごとに「標準的なテナー」というのが決まっている。

  • USD => 3M
  • EUR => 6M
  • GBP => 6M
  • JPY => 6M
  • AUD => 満期3Yまでは3M、満期4Y以降は6M
  • NZD => 3M
  • CAD => 3M
  • CHF => 6M
  • HKD => 3M
  • SGD => 6M
  • ZAR => 3M
  • TRY => 3M

たとえばJPYであれば6Mが標準的なテナーであり、それ以外のテナーは全て非標準的なテナーである。この「非標準的なテナー」のことを「オッドテナー」などと呼ぶ。JPYなら3Mはオッドテナーである。

JPYのオッドテナー、例えば3Mの変動金利と固定金利を交換するスワップを顧客がしたがっている場合、金融機関は顧客と3Mテナーのスワップを締結するが、その裏で、インターバンク市場で3Mと6Mを交換するテナースワップを締結してヘッジする。3Mはオッドテナーであり、マーケットでは流動性がないため、顧客取引の裏で3Mテナーのスワップを行ってヘッジする、というのは困難である。その代わりに3M-6Mのテナースワップを使ってヘッジする。

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