コンバージョンファクター

前回の話で、通常は円サイドに乗るはずの通貨ベーシスが、ドルサイドに乗っているケースを紹介した。

このような場合に、円サイドの通貨ベーシスとしてクオートされているベーシスの値を、符号を反対にしてドルサイドに乗せるだけでは、誤りである。
なぜなら、円のディスカウントとドルのディスカウントが異なるからだ。
 
実際には、ディスカウントファクター×付利期間の比率を、市場の通貨ベーシスにかけることで調整する。この比率をコンバージョンファクターという。
つまり、ドルサイドに乗せるためには、円サイドに乗っていたベーシスをドルのディスカウントファクター×付利期間で割り、円のディスカウントファクター×付利期間をかける。
これをドルサイドから差し引いて、ドルのスプレッドとして時価評価すると、ドルのディスカウントファクター×付利期間が分母分子で相殺されるため、結局、円のディスカウントファクター×付利期間が残ることになる。
これにより、結局、市場の通貨ベーシスが円のスプレッドとして評価されているのと同じになる。

—–