ボラティリティスマイルのバックボーンとは

ざっくり解説

スマイルのダイナミクスの説明としてよくあるのは、フォワードが動いたときにスマイル全体が左右どちらに動くか、というものだ。フォワードが上がったとき、スマイルが右シフトするのがスティッキーデルタである。

この、左右どちらにスマイルがシフトするか、という話とは別に、もう一つの観点がある。それは、フォワードが動いたときに、ATMボラティリティが上がるのか下がるのか、という観点である。つまり、スマイルの左右シフトの話ではなく、上下シフトの話である。このスマイルの上下シフトに関係しているのが、スマイルのバックボーン(backbone)である。

スマイルのバックボーンとは、フォワードが動いたときに、ATMボラティリティが動く軌道のことである。

・フォワードが上がるとATMボラティリティが下がるのであれば、右下がりのバックボーンになる。

・逆に、フォワードが上がるとATMボラティリティも上がるのであれば、右上がりのバックボーンになる。

例としてSABRモデルを考えると、ATMのBlackボラティリティはざっくりと以下のように近似できる。

αF^(β – 1)

ここで、αは確率ボラティリティの初期値、Fはフォワード、βはパラメーターである。これを見ると、SABRモデルのバックボーンは、パラメーターβの水準によって決まることがわかる。

・βがゼロに近い場合、フォワードが上がるとATMボラティリティは大きく下がるので、傾きのきつい右下がりのバックボーンになる。

・βが1に近い場合、フォワードが動いてもATMボラティリティは影響を受けないので、右下がりだがほぼフラットに近いバックボーンになる。

よってSABRモデルのβは、マーケットのバックボーンに合うように設定する必要がある。設定方法としては、トレーダーが持つバックボーンの感覚に合うように設定することが多いだろう。ちなみにSABRの原論文では、フォワードとATMボラティリティのヒストリカルデータから、βを回帰分析で求めることが提案されている。

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