スティキーデルタとは

前回は、ストライクを、ATMからの相対的な距離として表したのがデルタである、と書いたが、この意味をもう少し補足する。

 
デルタはN(d1)であるが、N()は正規分布の累積分布関数なので、単調増加である。d1には分子にlog(S/K)があり、これがストライクとスポットの相対的な距離を表している。logS – logKと書き換えられるから、ストライクがスポットからどれだけ離れているかを表す。
 
スポットSが上がると、log(S/K)が変わらないためには、同じだけストライクKも上がらないといけない。
よって、スティキーデルタでは、スポットがS’に上がると、スポットとスマイルが動く前のlog(S/K)とlog(S’/K’)が同じになるような新しいストライクK’のボラティリティは、前のストライクKのボラティリティと同じになる。だから、スポットがSからS’に上がったのであれば、ストライクもKからK’に上がったところに、以前のボラティリティVol(K)があることになる。つまり、低ストライクのVol(K)は高ストライクのVol(K’)に移動したわけだから、スマイル全体は右にシフトしたことになる。
 
スティキーストライクでは絶対的なKの水準に対するボラティリティが不変だったが、スティキーデルタでは、S/Kの水準に対するボラティリティが不変ということになる。

—–