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ゼロコストオプションの仕組みとは【簡単に】

ゼロコストオプションとは、オプションの買いと売りを組み合わせ、買いで支払うプレミアムと、売りで受け取るプレミアムがつり合うようにした商品である。

オプションにはプラスの価値があるので、

  • オプションを買うと、プレミアムという代金を支払わないといけない
  • オプションを売ると、プレミアムという代金を受け取らないといけない

ここで、

  • プレミアムが100のオプションAを買う
  • プレミアムが100のオプションBを売る

すると、100のプレミアムの受け払いが打ち消されてゼロになる。
つまり、受け払いがなくなる。

もちろん、全く同じオプションを売り買いしても、銀行の顧客にとっては意味がない。しかし、

  • 経済効果は異なるが、
  • 値段は同じ
    ようなオプションを売り買いすることで、タダ(ゼロコスト)にできる。

これがゼロコストオプションの仕組みである。

為替オプションで作るゼロコストオプション

よくあるのは為替予約として売られるゼロコストオプションだ。
しかしこれは為替オプション(通貨オプション)を組み合わせて作られている

為替予約は、

  • 為替のコールオプションの買い
  • 為替のプットオプションの売り

を組み合わせることで作れる。
これはシンセティックフォワードとも呼ばれる。
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そこで、

  • コールオプションを買って
  • それと値段の同じプットオプションを売れば

ゼロコストにできる。

そもそも為替予約は契約開始時にプレミアムを支払わないため、そういう意味では普通の為替予約でもゼロコストなのだが、
わざわざオプションの組み合わせで為替予約を作り、顧客に売りつけるわけだ。
タダより安いものはない、ということで、顧客はついつい契約してしまうのかもしれない。

ゼロコストオプションとリスクリバーサルの違い

為替オプションにおいて、リスクリバーサルの特殊な場合がゼロコストオプションである。

リスクリバーサルは為替オプションのコールの買いとプットの売り(あるいはコールの売りとプットの買い)を組み合わせるオプション戦略である。リスクリバーサルにおいて、コールのプレミアムとプットのプレミアムを同じにすると、ゼロコストオプションになる。

しかし「リスクリバーサル」と言う場合は必ずしもコールとプットのプレミアムが一致しているわけではないので、ゼロコストオプションよりもリスクリバーサルのほうが広い意味の用語である。

ゼロコストオプションとゼロコストカラーの違い

カラーもリスクリバーサルと同様、権利行使価格(ストライクの異なる)コールの買いとプットの売り(あるいはコールの売りとプットの買い)を組み合わせるオプション戦略である。

しかし違いとしては、

  • リスクリバーサル為替オプションでの呼び名
  • カラー金利オプションでの呼び名

したがってリスクリバーサルと同様、カラーも、ゼロコストオプションよりも広い意味の用語である。カラーについても、権利行使価格など取引条件を調整することで、コールとプットでプレミアムがつり合うようにすると、ゼロコストオプションになる

なお、金利オプションでは、

  • コールオプションをキャップと呼ぶ
  • プットオプションをフロアと呼ぶ

参考文献

FX Barrier Options: A Comprehensive Guide for Industry Quants (Applied Quantitative Finance) (English Edition)

FX Options and Structured Products (The Wiley Finance Series) (English Edition)

Foreign Exchange Option Pricing: A Practitioner’s Guide (The Wiley Finance Series Book 626) (English Edition)

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