利払い一回の通貨スワップの定額使い放題プランが流行っているようだ。
利払い一回の通貨スワップとは、
・満期3M
・スポットで円を貸してドルを借りる
・満期で円金利と通貨ベーシスを受けて、ドル金利を払う
・満期で円を返してもらいドルを返済する
というものだ。
満期の金利交換を元本償還の水準に反映すると、為替スワップとなる。つまり、金利交換する代わりに、その金利差から求まる為替フォワードレートで元本償還するのが為替スワップだ。
定額使い放題プランといっているのは、取り組む元本枠だけ決まっていて、その枠内であれば、ある一定期間のうちなら何回でも利払い一回の通貨スワップを取り組める、という契約だ。
その代わりとして、スポットで手数料にあたるフィーをまとめて支払う必要がある。もしくは、年に一回、最後の満期までフィーを分割払いする例もある。
ここで、重要なのは、この定額使い放題プランでは、将来発生するかもしれない通貨スワップの取引条件である、
・元本に適用する為替レート
・通貨ベーシス
が両方とも将来の市場実勢で設定される、という点である。
このため、定額使い放題プランの約定時には、まだ通貨スワップの取引条件が確定しておらず、将来の通貨スワップ約定時には市場実勢で設定されることから、これら将来の通貨スワップは全て時価ゼロである。
実際に個別の通貨スワップが約定されると、その満期である3Mまでの間は時価が発生する。
これを、将来の外貨調達ニーズがある地銀に対して、外資系など大手の銀行や証券が売っているようだ。
地銀からすれば、具体的に外貨調達ニーズが出てきてから証券会社に取引を申し込めば、手数料は使った分だけ支払えばいいはずだ。
定額使い放題プランだと、実際にはあまり外貨ニーズが出てこなかったとしても、定額の手数料を支払わないといけない。
これは例えば食べ放題の店で、元を取れた、取れなかった、と同じ話である。
しかしながら、外貨ニーズが出てくるころに取引相手がうまく見つかるかわからない、とか、良い取引条件でやってくれる相手が見つかるとも限らない、とかで地銀は不安になっているのかもしれない。
そこにつけこんで、この定額使い放題プランを提示して、手数料収入を得ているように見受けられる。
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