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Constant Maturity Swap (CMS) の2つの意味
コンスタントマチュリティスワップ (Constant Maturity Swap: 略してCMS) という用語は以下2つの意味で使われており、文脈によって指しているものが異なる。
- 金利スワップの変動金利として参照される満期一定 (コンスタントマチュリティ) のスワップレートのこと
- 満期一定のスワップレート(上記1. の意味でのCMS)を変動金利として参照する金利スワップのこと(この場合はCMSレートを参照するという意味でCMSスワップと言うこともある)
1. の場合はスワップレート、つまり金利を指しているが、
2. の場合は金利スワップ、つまり金融商品を指している。
このどちらを指してCMSと呼んでいるのかは、文脈で判断するしかない。
CMSスワップの取引例
次のような金利スワップを考える。
- 満期は5年、6カ月ごとに変動金利1と変動金利2を交換する
- 変動金利1として、TONAの後決め複利を用いる
- 変動金利2として、満期10年のCMS金利(満期10年のスワップレート)を用いる(CMS10Yなどと書く)
変動金利どうしを交換するタイプの金利スワップである。
変動金利1は短期の金利(翌日物の金利)であり、現在において「金利スワップ」と言う場合、通常はこの翌日物金利(の後決め複利)と、固定金利を交換する金融商品(OIS)を指す。
しかし今の例では、翌日物金利(短期金利)と、CMS金利を交換している。CMS金利とは要するにスワップレート(長期金利)である。
スワップレートは時々刻々と市場変動に応じてレートが変化するが、重要なのは、満期ごとにレートが異なるという点である。
・満期1年のスワップレート
・満期5年のスワップレート
・満期10年のスワップレート
・満期30年のスワップレート
これらは全て異なるレートであり、別々の値である。レートの変動の仕方も満期によって異なるため、それぞれ別物の金利だと思っておくべきだ。
今の例では、満期10年のレートを参照して変動金利2を支払う、という商品になっている。
ではなぜ、単に「スワップレート」と言わないで、わざわざ「コンスタントマチュリティスワップレート」や「CMSレート」「CMS金利」などと言うのだろうか。
コンスタントマチュリティベースの金利とは
コンスタントマチュリティとは日本語だと一定満期という意味である。
満期が一定というのは、以下のことを指している。
- 6カ月後に支払う金利は(6カ月後に観測される)満期10年のスワップレート(現在から10.5年(=0.5年+10年)後がスワップレートの満期日)
- 12カ月後に支払う金利は(12カ月後に観測される)満期10年のスワップレート (現在から11年(=1年+10年)後がスワップレートの満期日)
- 18カ月後に支払う金利は(18カ月後に観測される)満期10年のスワップレート (現在から11.5年(=1.5年+10年)後がスワップレートの満期日)
- 24カ月後に支払う金利は(24カ月後に観測される)満期10年のスワップレート (現在から12年(=2年+10年)後がスワップレートの満期日)
つまり金利を支払う時点が変わっても、同じ満期のスワップレートを参照する、という意味である。
重要なのは、金利の支払い時点が先に進むほど、金利が参照するスワップレートの満期日が10.5年、11年、11.5年、12年、・・・と後ろ倒しになっていることである。金利の支払い時点から見たスワップレートの期間が10年で一定、というだけであり、参照するスワップレートの満期日は一定ではなく、後ろ倒しになっていく。
重要なのは、金利はあくまで6カ月ごとに支払われているのだが、その金利は満期6カ月の金利(短期の金利)ではなく、満期10年の金利(長期の金利)という点である。
金利の計算期間は6カ月だが、金利の参照期間は10年であり、2つの期間にミスマッチが生じている。このミスマッチによって、CMSのフォワードレートやオプションプライスの計算が複雑になる(コンベクシティ調整が必要になる)。
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コンスタントマチュリティではない金利とは
逆にコンスタントマチュリティではないスワップレートの例として、コターミナルスワップレートがある。
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上記の例(満期5年のスワップで6カ月ごとに金利を交換する金利スワップ)の場合、(満期5年の)コターミナルスワップとは次のような意味である。
- 6カ月後に支払う金利は(6カ月後に観測される)満期4年6カ月のスワップレート(現在から5年(=0.5年+4.5年)後がスワップレートの満期日)
- 12カ月後に支払う金利は(12カ月後に観測される)満期4年のスワップレート(現在から5年(=1年+4年)後がスワップレートの満期日)
- 18カ月後に支払う金利は(18カ月後に観測される)満期3年6カ月のスワップレート(現在から5年(=1.5年+3.5年)後がスワップレートの満期日)
- 24カ月後に支払う金利は(24カ月後に観測される)満期3年のスワップレート (現在から5年(=2年+3年)後がスワップレートの満期日)
CMSと異なる点は、金利の支払い時点が将来に行くにしたがって、参照するスワップレートの満期が短くなっていることである。
コターミナルスワップの場合、参照するスワップレートの満期日(ターミナル)が、現在から5年後で共通している(「コ 」(co-))のが特徴である。
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