MtM通貨スワップとは

いまだにMtM通貨スワップについて質問を受ける。これはMark to Market 通貨スワップのことだが、これには
・元本が変動するもの
・ベーシスが変動するもの
の両方があり、ここでは元本が変動するものを考える。ベーシスが変動するものについては以下の記事を参照。

MtM通貨スワップとして典型的なものは、ドルと他通貨を交換する通貨スワップで、ドルサイドの元本が3ヶ月ごとに洗い替わるものだ。

ドル円だと、円サイドの元本が固定されて、ドルサイドが変動する。はじめのドル元本が1であれば、固定される円の元本は、ドル元本1に約定時のスポットをかけたものである。約定時のスポットが110だとすると、円元本は110で固定される。
3ヶ月後のスポットが100とすると、新しいドル元本は、固定されている円元本110をスポット100で割った1.1となる。
ここで、ドル元本は変動するだけではなく、その変動分を受け払いすることになる。

自分がドル調達サイドだと、
・約定後スポットにドル受け円払い
・3ヶ月後にはドル払い円受け
となる。しかし3ヶ月の時点ではそれと同時に、新しいドル元本のもとで、
・ドル受け円払い
が行われる。

上の例だと、3ヶ月の時点で、
・ドル元本1を払い円元本110を受ける
と同時に、
・新しいドル元本1.1を受け円元本110を払う
ことになる。これらはネッティングすると、ドル0.1の受け取りになる。

このように、MtM通貨スワップは、利払い1回の通貨スワップを3ヶ月ごとに市場実勢の為替で約定し続けるのと同じことである。

注意としては、ユーロドルやオージードルの場合は、ドルが分母分子で逆になることだ。
ユーロドルだと、ドルが変動して、ユーロが固定である。ユーロ元本が100で為替が1.10だと、はじめのドル元本は110だ。これが3ヶ月後に為替が1.00になると、ユーロ元本100に為替1.00を掛けてドル元本は100になる。ドル円の場合はドル元本を割って出したが、ユーロドルだと当然、ドル元本は掛けて出すことになる。

また、必ずドルサイドが変動するのかというと、そうとも限らない。例えばユーロが国内通貨である欧州企業だと、ドルが外貨になるので、ドル元本を固定でユーロ元本の変化分を決済していくこともある。要は国内通貨のサイドが変動するのである。マーケットコンベンションではドルが国内通貨だからドルサイドが変動する、というだけである。

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