為替スワップポイントと通貨ベーシスの使い分け

はじめに

為替スワップと通貨スワップの違いは以前に書いた通りだが、ここではイールドカーブ生成のインプットについて、為替スワップポイントと通貨ベーシスの使い分けを見ていく。

ドル担保ディスカウントカーブ生成

円担保の外貨キャッシュフローの割引には、それ用のイールドカーブを生成する必要がある。しかしその前段階において、ドル担保のイールドカーブを生成することが必要だ。

よく用いるインプット

このとき、主に用いられているインプットは以下の2種類である。

・為替スワップポイント
・ 通貨ベーシス

インプットの使い分けのパターン

よくある使い分けとしては、

・短期ゾーンは為替スワップポイント
・長期ゾーンは通貨ベーシス

を用いる、というものだ。
短期と長期の分かれ目は、よくあるのは、満期1年である。

・満期1年未満は為替スワップの方が流動性があると考えてスワップポイントを用いる
・満期1年以上は通貨ベーシススワップの方が流動性があると考えて通貨ベーシスを用いる

という使い分けだ。

しかし市場では他にも使い分けのパターンがいろいろある。

⑴短期も長期も為替スワップポイントを用いる
⑵短期は為替スワップポイント、長期は通貨ベーシスを用いる
⑶短期も長期も通貨ベーシスを用いる

金利系システムと為替系システムでロジックが違うことも多い

次に、話がややこしくなる点としては、同じ1つの金融機関でも、金利系システムと為替系システムが別になっており、プライシングロジックも別々になっていることがある、という点だ。

例えば、為替系システムでは為替系商品を評価しており、そこでは上のパターン⑴になっているが、金利系システムでは金利系商品を評価しており、そこでは上のパターン⑵になっている、ということだ。

為替系商品である為替予約と、金利系商品である通貨スワップで、異なるインプットを用いて評価する金融機関がけっこう多い、というわけである。

インプットの使い分けパターンが金融機関によって異なる

さらに、商品ごとのインプットの使い分けパターンが、金融機関によって異なる。具体的には、以下の4通りがある。

(金融機関A)
為替予約はパターン⑴、通貨スワップはパターン⑵
・為替予約は短期も長期も為替スワップポイントから作ったイールドカーブで評価
・通貨スワップは短期を為替スワップポイント、長期を通貨ベーシスから作ったイールドカーブで評価

(金融機関B)
為替予約はパターン⑴、通貨スワップはパターン⑶
・為替予約は短期も長期も為替スワップポイントから作ったイールドカーブで評価
・通貨スワップは短期も長期も通貨ベーシスから作ったイールドカーブで評価

(金融機関C)
為替予約はパターン⑵、通貨スワップはパターン⑵
・為替予約は短期を為替スワップポイント、長期を通貨ベーシスから作ったイールドカーブで評価
・通貨スワップも同じ

(金融機関D)
為替予約はパターン⑵、通貨スワップはパターン⑶
・為替予約は短期を為替スワップポイント、長期を通貨ベーシスから作ったイールドカーブで評価
・通貨スワップは短期も長期も通貨ベーシスから作ったイールドカーブで評価

まとめ

以上から、重要な点を繰り返す。

・同じ1つのイールドカーブの中でも、短期と長期で異なるインプットを用いることがある
・短期と長期のインプットの使い分けには⑴から⑶までの3パターンがある
・為替予約と通貨スワップが別のロジックで評価されることがある
・為替予約と通貨スワップに対する評価ロジックの使い分けには、(A)から(D)までの4通りがあり、金融機関によって評価ロジックの使い分けが異なる