クレジット商品の回収率リスク(リカバリーレートリスク)とは: 2種類ある

こちらもおすすめ

【初心者向け】CVAの体系的まとめnote | Quant College

LIBOR廃止とRFR移行のまとめ | Quant College

【随時更新】CVAなどのXVAを勉強するのにおすすめの本:5冊 | Quant College

解説

回収率リスク、つまりリカバリーレートリスクとは、CDSなどのクレジット商品の評価において、インプットとなる回収率の指定を間違うリスクである。

 
回収率とは、
・デフォルト時に元本のうちいくらを回収できるか
を表している。
 
ところがそのような情報は、
・たいてい市場で観測できない
・ヒストリカルデータから推定しようにもデフォルト発生数が少なすぎる
という問題がある。
このため、市場では簡単化する仮定として、回収率には何らかの固定値を設定する、というのが一般的である。
 
もっとも、本当に潰れそうな会社が出てきて、
市場がデフォルトリスクを本格的に意識し始めると、状況は変わる。
回収率を固定化するリカバリーロックやリカバリースワップと呼ばれる商品が出てきて、
市場参加者がそれぞれ異なる回収率の予想値を持って取引し始める。
 
このため、通常時はリカバリーレートリスクが顕在化することはないものの、
デフォルトリスクが高まってきて、CDSスプレッドがかなりワイドニングしてくると、リカバリーレートリスクに注意が必要となる。
 
例えば、
・CDSのプロテクション買いであれば、回収率が高まると、支払うプレミアムが多過ぎるということで、損失が出る。
・CDSのプロテクション売りであれば、回収率が下がると、受け取るプレミアムが少な過ぎるということで、損失が出る。
 
 
リカバリーレートリスクには以下の2種類がある。
 
⑴クレジットスプレッドを一定としたときに、回収率が変動するリスク
 
⑵生存確率を一定としたときに、回収率が変動するリスク
 
ここで、実際のデフォルト発生時に実現した回収率が当初の仮定と異なる、というリスクは、⑵の特殊な場合として分類できる。
なぜなら、生存確率がゼロ%としたときに回収率が変動するリスク、と考えられるからである。
 
 
⑴の場合は、クレジットスプレッドを一定に保つので、クレジット・トライアングルから、
回収率が上がると、デフォルト確率も上がることになる。
つまり、デフォルトによる期待損失は、以下の相殺効果により、あまり大きくは変化しない。
 
・回収率が上がるということは、損失率が下がる
・逆に、デフォルト確率は上がる
 
そもそも、クレジットスプレッドは期待損失を表しているから、それが一定ということは、クレジット商品のPVはあまり変化しないだろう。
 
 
⑵の場合は、生存確率が一定、つまりデフォルト確率が一定で、回収率だけが変化するので、
クレジット・トライアングルから、クレジットスプレッドは変化することになる。
 
このとき、回収率が上がると、損失率は下がるので、
デフォルト確率が一定だと、クレジットスプレッドは下がることになる。
 
これによって、⑵は⑴の場合に比べて、クレジット商品の時価は大きく変化する。
 
 
⑴より⑵の方が、リカバリーレートリスクとしては精緻な計算方法である。
なぜなら、市場参加者の期待回収率が変化するようなマーケット環境では、それに合わせて市場のクレジットスプレッドも変化するはずだからである。
 
しかしながら、CDSなどのマーケットメイカーが⑵の方法のように、精緻なプライスを必ず出してくるとは限らない。
 
マーケットのCDSスプレッドは容易に取得できるので、そのスプレッドが間違っていなければ、
⑴の方法によると、インプットする回収率が間違っていても、時価への影響は小さいだろう。

こちらもおすすめ

【初心者向け】CVAの体系的まとめnote | Quant College

LIBOR廃止とRFR移行のまとめ | Quant College

【随時更新】CVAなどのXVAを勉強するのにおすすめの本:5冊 | Quant College