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通貨オプションのボラティリティのクォートは3種類ある
通貨オプションのボラティリティスマイルは、以下の3種類のボラティリティでクォートされる。
- ATMストラドル(STRなどと書く)
- リスクリバーサル(RRなどと書く)
- バタフライ(FLYまたはBFなどと書く)
注意として、バタフライのクォートのことをストラングルと書いている文献もある。
- 取引戦略としては、バタフライとストラングルは異なるもの
だが、 - 通貨オプションのスマイルボラティリティのクォート方法としては、バタフライとストラングルを同一視して言及されることが多い
ストラドル=コール+プット
ATM(アットザマネー)ストラドルは、アットザマネーのコールオプションとプットオプションを1単位ずつ買う、または1単位ずつ売る戦略のことを指す。コールもプットも同じストライクレート(=行使レート)、すなわちどちらもATMストライクのオプションを使う。
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ストライクはATMにとるが、そもそもATMの為替レートの計算方法(コンベンション)にいくつかのバリエーションがあり、通貨ペアと満期によって異なるので注意。
リスクリバーサル=コール-プット
リスクリバーサルは、異なるストライクの
- コール買いとプット売り
または - コール売りとプット買い
である。
通貨オプションのリスクリバーサルとは | Quant College
ストライクはデルタで指定する。
例えば25デルタであれば、
- 25デルタとなるようなコールのストライク
- 25デルタとなるようなプットのストライク
を指定する。
なぜ通貨オプションではストライクをデルタでクォートするのか? | Quant College
25デルタのコールと25デルタのプットでストライクは異なることに注意。
デルタでストライクを指定する場合、(インザマネーではなく)アウトオブザマネーのサイドのストライクを意味する。
【簡単にわかりやすく】オプションのインザマネーとアウトオブザマネーとは?イントリンシックバリューとタイムバリューとの関係 | Quant College
- アウトオブザマネーのコールはATMより高いストライク
- アウトオブザマネーのプットはATMより低いストライク
になる。
同じデルタであれば、プットのストライクの方が、コールのストライクよりも低い。
リスクリバーサルのクォートの計算式は、
- (コールのインプライドボラティリティ)−(プットのインプライドボラティリティ)
と、ボラティリティの差分でクォートする。
したがって、
- リスクリバーサルがプラスの場合
- コールオーバーと言う
- コールの方がプットよりインプライドボラティリティが高い
- スマイルは右上がり(=逆スキュー)の状態になっている
- リスクリバーサルがマイナスの場合
- プットオーバーと言う
- プットの方がコールよりインプライドボラティリティが高い
- スマイルは右下がり(=スキュー)の状態になっている
バタフライ=ストラドル-ストラングル
バタフライは、
- ATMストラドルの買いと、ストラングルの売り
または - ATMストラドルの売りと、ストラングルの買い
である。
【わかりやすく】通貨/為替オプションのストラングル、バタフライの意味とは | Quant College
ストラドルとストラングルで反対サイドのポジションになっている。
ここで、ストラングルとは、異なるストライクの
- コール買いとプット買い
または - コール売りとプット売り
である。
ストラドルはコールとプットで同じストライクのものを組み合わせるが、
ストラングルはコールとプットで異なるストライクのものを組み合わせる
ということに注意。
【わかりやすく解説】オプションのストラドルとストラングルの違い | Quant College
ストラングルのコールとプットのストライクもデルタで指定する。
バタフライのクォートの計算式は、
- \(\bar{\sigma} – \sigma_\mathrm{ATM}\)
であり、リスクリバーサルと同様、ボラティリティの差分でクォートする。
ここで \(\bar{\sigma}\) は、ざっくり言うと、同じデルタのコールのボラティリティとプットのボラティリティの平均のようなもの、を表している。
したがって、バタフライのクォートは、スマイルのU字型の底の部分(ATMボラティリティ)に比べて、両端の平均がどれくらい上の位置にあるか、を表す。すなわち、バタフライのクォート数値が高いほど、底の部分がとがっている(曲率の高い)スマイル、ということになる。
\(\bar{\sigma}\) の設定方法として、よくある簡便法は、
- \(\bar{\sigma}_{25\Delta} = \frac{1}{2} \left( \sigma_{25\Delta , \mathrm{Call}} + \sigma_{25\Delta , \mathrm{Put}} \right) \)
とする方法である。細かいことを言うとこれは近似に過ぎないのだが、
上記のように \(\bar{\sigma}\) を設定してバタフライをクォートすれば、連立方程式を解くことで、25デルタコールボラティリティと25デルタプットボラティリティを以下のように容易に逆算できる。
- \(\sigma_{25\Delta , \mathrm{Call}}=\sigma_\mathrm{ATM}+\frac{1}{2} \sigma_\mathrm{RR} + \sigma_\mathrm{FLY}\)
- \(\sigma_{25\Delta , \mathrm{Put}}=\sigma_\mathrm{ATM}-\frac{1}{2} \sigma_\mathrm{RR} + \sigma_\mathrm{FLY}\)
以下の記事も参照。
リスクリバーサルとストラングルからスマイルボラティリティを逆算する簡便な方法 | Quant College
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