コピュラとは

コピュラとは、複数の周辺分布をインプットにして、1つの同時分布をアウトプットする関数のことである。

大まかなイメージとしては、
 
周辺分布+コピュラ=同時分布
 
と思っておけばよい。
 
周辺分布は1つの原資産の到達確率のことで、例えば日経平均があるストライクに到達する確率や、S&P500があるストライクに到達する確率のことである。
 
同時分布とは、原資産1がストライク1に到達してかつ、原資産2がストライク2に到達する確率、といったものだ。
よって同時分布には、個別の原資産の周辺分布の情報に加えて、複数の原資産の依存関係の情報が含まれる。そこで、周辺分布と依存関係を分離して、それぞれを別々に指定するために、コピュラが用いられる。
 
2つの原資産について、周辺分布は正規分布、コピュラはガウシアンコピュラを用いると、同時分布は二次元正規分布になる。
また、周辺分布はt分布、コピュラはtコピュラを用いると、同時分布は二次元t分布になる。
 
しかしこれらのケースではわざわざコピュラを持ち出すことはないだろう。なぜならば、二次元正規分布など、既に名前が付いているような同時分布は、その分布に従うサンプルを直接生成できるからである。
 
応用上必要になるのは例えば、周辺分布は正規分布だが、コピュラはtコピュラを用いて、同時分布を作る、というようなケースだ。この場合、出来上がる同時分布は二次元正規分布でもなければ、二次元t分布でもない、名前の付いていない複雑な分布になる。
このように、周辺分布と依存関係を別々に指定することにより、自由にカスタマイズした同時分布を作りたいようなときに、コピュラを用いる。
 
先ほどの例であれば、
・日経平均の周辺分布は日経平均オプション価格からインプライされる分布
・S&P500の周辺分布はS&P500オプション価格からインプライされる分布
を用いるが、
・依存関係にはガウシアンコピュラを用いる
というようなケースだ。
 
ここで、市場のオプション価格からインプライされる分布は、対数正規分布でもなければ正規分布でもない、複雑な分布である。オプション価格の補間にSABRモデルを用いていれば、SABRモデルからインプライされる「SABR分布」のようなものになる。
一方で、依存関係の推定に必要な情報があまりない場合には、簡便的にガウシアンコピュラを仮定する、というわけだ。
周辺分布にSABR、依存関係にガウシアンコピュラ、という組み合わせで生成すると、日経平均とS&P500の同時分布は、二次元SABRでもなければ、二次元正規分布でもない、名前の付いていない複雑な二次元分布となる。
 
よくある間違いとしては、コピュラがインプットで、周辺分布と同時分布の両方がアウトプットである、という勘違いである。
コピュラは決して周辺分布を作り出す、ということはしない。むしろ、周辺分布の情報は外からインプットしてもらわないといけない。
コピュラは周辺分布に関する情報を一切持っておらず、むしろ、同時分布から周辺分布の情報を除去した残りがコピュラである、と覚えた方がいいだろう。
つまり、
周辺分布+コピュラ=同時分布
なので、これを変形すれば、
コピュラ=同時分布−周辺分布
というわけだ。
 

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