クオンツの採用担当はどこを見ているのか?(新卒採用の場合)

前回記事の続きである。

管理人はクオンツの採用面接も日常的に行っているので、クオンツの面接官が何を見ているのかについて書いてみたい。

まず、クオンツ業務で必要な素養としては、以前の記事内容を再掲すると、

・確率統計などの数学
・プログラミングなどのIT
・金融市場に対する関心
・クオンツ以外の人に目線を合わせて要点を説明する能力

そして、さらに基礎的な部分でいうと、

・新しい技術に対する関心
・出くわした問題について自分で調べて自分で解決する自走能力
・論理的でかつ誤解されにくい文書の作成能力

などである。

以上の素養が有りそうかどうかについて、採用する側は書類と面接で判断しないといけない。今回は新卒採用に絞って書いていこう。

前提として、管理人が面接官を務めた採用面接の数としては、新卒採用はごくわずかで中途採用がほとんどである。このため、新卒採用についてはあまり場数を踏んでいない点には留意して頂きたい。

まず新卒採用の場合、見ないといけないのは、上記で挙げた素養の今後の伸びしろである。しかし数学については例外であり、数学の基礎が身に付いていない人を採用することはなく、理系学部一年生から二年生レベルの内容は必須となる。もっとも、これについては書類の段階でたいてい、有名大学の理系院生に絞られているので、面接官としてはほとんど心配していない。とはいえ、まれに東大経済の学生もいるほか、理系でも学部生や、あるいは、数学をあまり使わないであろう専攻の院生には、解析や線形、確率統計の計算問題を出すことがある。金融工学系の院生であれば、例えば伊藤の公式を使った計算問題を出すことがある。しかし面接の時間は限られているので、数学についてはできるだけ書類選考の段階で、その素養がなさそうな人をあらかじめ切っておく、という感じである。

プログラミングなどのITスキルについては、新卒採用であればスキルがなくても書類は通るし面接でも特段問われることはないだろう。しかし入社後にはプログラミングのスキルを爆速で伸ばしてもらう必要がある。というのもジュニアの仕事は、既存のライブラリやツールのメンテナンスなどであり、プログラミングの基礎も知りませんでは困るからである。入社後にプログラミングスキルが伸びやすい人はどういう人かというと、

・物事を抽象化して考えられる
・自分で調べて自分で学び、粘り強く自力でデバッグできる
・とにかく手を動かしてトライアンドエラーの回数を増やす

という感じの人である。これはかなり学歴と相関がありそうな気もするが、重要なのは、高校三年生とは違って、仕事をしながらその合間で自習する必要がある、ということだ。よって新卒採用の面接では、応募者のプログラミングスキルがそれほど高そうではなかった場合、新しい分野を学ぶ際どのようなことに気を付けていたか、など、自学自習の経験について聞くことがある。自力でアプリ開発などした経験があれば、選考にプラスに働くので、面接で積極的に話してみるといいだろう。

しかし、身も蓋もない話だが、数学やプログラミングの能力、及びそれらの伸びしろについては、かなり学歴と相関が高いというのは認めざるを得ないだろう。大学については、有名私立大と有名国立大は、超トップ層同士で比べると差がないように見えるが、それより下のトップ層から中間層同士で比べると、明らかに有名国立大の学生の方が、伸びしろが大きいという印象である。

さらに言うと、浪人の有無や、出身の高校と大学を両方見る、というのも場合によっては有効かもしれない。高校は有名な超進学校なのだが、大学は東・京・一・工以外、というケースも結構見かける。このような場合は、ある人事の方によると、「ポテンシャルはあるものの、整った環境が与えられているのに、ここぞという大事な局面で粘り強く努力できない、あるいは負け癖がついている」というレッテルを貼られる恐れがあるらしい。これは完全に偏見ではないかと思う一方で、どこか一理あるような気もする。クオンツは仕事のパフォーマンスと学歴の相関が比較的強い職種と思われているため、どうしても学歴は細かく見られてしまう、というのは押さえておいた方がいいだろう。

数学とプログラミング以外については、面接で詳しく見ていくことになる。

まず、金融市場に対する関心については、マーケットの時事ネタについてどれくらい知っているか、その背景や今後の見通しなどについて、面接で質問する。証券口座を開設して実際に取引しているかどうかは、それほど重要視しないが、実際に取引しているのであれば、学生としてはそれを話のネタにすればいいだろう。

次に、クオンツ以外の人に目線を合わせて要点を説明する能力については、大学での研究内容について質問することで確認する。
・専門用語の意味
・既存の方法にはどのような問題があるのか
・自分たちの研究ではそれをどのように解決するのか
・(工学系の場合)その研究成果があると何がうれしいのか

といったことを説明できればいいだろう。

新しい技術に対する関心や、自分で調べて自分で解決する自走能力については、新しい内容を自習する際の学習方法や気を付けていることなど、過去の自学自習の経験を聞くことで確認する。

論理的でかつ誤解されにくい文書の作成能力については、書類選考の段階でだいたいわかるので、面接では特段確認することはない。

以上が新卒採用の場合にチェックされるポイントだが、次回は中途採用の場合について見ていきたい。