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XVA(評価調整)とは
XVAとはデリバティブにおける評価調整の各項目の総称である。
評価調整とは、古典的なリスクフリーレートによる評価では織り込まれていなかったが実務上重要なファクターを、評価に織り込むための調整である。
古典的なリスクフリーレートによる評価では、例えば以下のようなファクターが考慮されていなかった。
- カウンターパーティ(取引相手)のデフォルト(倒産)
- 自社のデフォルト(倒産)
- 変動証拠金の調達コスト
- 当初証拠金の調達コスト
- 規制資本の調達コスト
これらはリーマン危機以前は
・小さくて無視できた、
あるいは、
・そもそも存在しなかったファクター
だが、現在では当たり前のように評価に織り込まれている。リーマン危機後に次々と新たな店頭デリバティブ規制が導入されたことが一つの要因となって、
・以前は無視できたファクターが大きくなったり、
あるいは、
・かつては存在していなかった新たなファクターが発生したり、
ということが起きた。
何に対する調整なのか
評価調整は何に対する調整かというと、古典的なリスクフリーレートによる評価に対する調整である。これはつまり、基本的にはOISフラットでのディスカウントによる評価に対する調整、ということになる。言い換えると、
評価調整考慮後の時価評価=評価調整考慮前の時価評価-評価調整
すなわち
XVA考慮後の時価評価=XVA考慮前の時価評価-XVA
ということである。XVAの構成要素には、プラス(利益)になるものとマイナス(損失)になるものがあるが、XVA全体としてはマイナスになることが多い。このため、マイナスになっているXVAの絶対値をとって、それをXVA考慮前時価から差し引く形で書かれることが多い。
XVAの構成要素
XVAの構成要素には以下のようなものがある。
- CVA(信用評価調整)
- DVA(債務評価調整)
- FVA(資金調達評価調整)
- ColVA(担保評価調整)
- MVA(証拠金評価調整)
- KVA(資本評価調整)
CVAは取引相手の倒産による損失を考慮するもの。
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DVAは反対に自社の倒産による利益を考慮するもの。
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FVAは変動証拠金を市場から調達する場合の調達コストと調達ベネフィットを反映するもの。
FVAは実際には調達コスト部分のFCAと調達ベネフィット部分のFBAに分かれる。
DVAとFBAにはオーバーラップする部分があるので、実務上はDVAとFBAのどちらか片方だけを考慮することが多い(DVAとFBAの二重計上問題)。
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ColVAは明示的に評価調整として計上されることはないが、簡便的な方法であっても評価上考慮されていたりする。
MVAは当初証拠金を市場から調達する場合の調達コストを反映するもの。
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KVAは規制資本コストを反映するものである。
MVA、KVAは現状では財務時価に考慮されることはまれだが、フロントでの実際のトレードにおけるプライシングでは何らかの形で考慮することが多い。
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MVAは一部の外銀では財務にも反映されているようだ。
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XVAの計算
XVAは保有するデリバティブ全体に対して計算を行うため、取引1件に対して1つの値が出るのではなく、ポートフォリオに対して1つの値が出る。ポートフォリオ単位で計算するためには、会社として保有している全てのデリバティブを統一的に評価するハイブリッドモデルが必要になる。ハイブリッドということの意味は、金利為替クレジット、株やコモディティも含め、全てのアセットクラスを同時にシミュレーションするということである。
その結果としてファクター数が非常に多いモデルを使うことになり、キャッシュフローが複雑なエキゾチック商品の多数含まれたポートフォリオを評価することから、数値計算法としてはモンテカルロシミュレーションになる。一部のシステムベンダーはその他グリッドベースでの評価を行っていることもあるが、モンテカルロシミュレーションが業界標準である。
参考文献
The XVA of Financial Derivatives: CVA, DVA and FVA Explained (Financial Engineering Explained) (English Edition) xVAチャレンジ―デリバティブ評価調整の実際 XVAモデルの理論と実務あわせて読みたい
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