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解説
CVAにはネッティング効果がある。
個別取引で時価の動きが逆になる2取引があれば、
ネッティング効果により、全体のCVAは単体取引のCVAの合計よりも小さくなるだろう。
しかしこのCVA削減効果を各取引に配分するにはどうすればよいか。
ネッティング効果はそもそも単一取引では発生せず、
複数取引があって初めて発生する。
このため、ネッティング効果を一つ一つの取引に配分する方法は自明ではない。
しかしながら、フロントでは、個別取引が全体のCVAに与える寄与度を確認したい。
このようなときの1つの方法が、インクリメンタルCVAである。増分CVAと書いている本もある。
インクリメンタルCVAでは、後続の取引をポートフォリオに追加することで、全体のCVAがいくら増えたか、を求める。
このため、一つ目の取引は必ず単体取引のCVA全額に寄与する。
二つ目の取引は、ネッティング効果により、単体取引のCVAよりは少ない金額だけ、全体に寄与する。
その後、取引が増えていっても以下同様である。
インクリメンタルCVAでは、ネッティング効果により全体のCVAが減少することがある。
この場合、当該取引の増分CVAは符号が逆転することになる。
つまり、CVAは常に損失であり収益ではないのだが、
増分CVAはマイナスの損失、つまり収益になることがある。
また、インクリメンタルCVAの値は、取引を約定する順番に依存する。
取引が2つだけの場合を考えればよい。
一つ目の取引は全額CVAに寄与するが、
二つ目の取引は自身の単体CVAのうち一部しか全体に寄与しない。
取引を約定する順番が逆であれば、この話は完全に逆になる。
後に約定する取引の方がネッティング効果を受けられるのである。
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