再担保とFVA・MVA

デリバティブ取引の担保が再担保可能かどうかによって、出てくるXVAは異なる。

ここで、再担保可能とは、ある取引で受け取った担保を、他の取引の担保支払いに横流しできる、ということである。
 
担保には、変動証拠金と当初証拠金の2種類がある。
FVAは変動証拠金に関連し、MVAは当初証拠金に関連している。

変動証拠金が再担保可能な場合は、
ファンディングコストに加えて、ファンディングベネフィットが発生する。
このため、FCAとFBAがセットで発生する。
 
一方で、再担保不可能な場合は、
担保を受け入れてもそれを別取引の担保差し出しに流用できない。
よって、ファンディングベネフィットが発生しない。それに対して、差し出すときのファンディングコストは変わらず発生するため、
FCAだけが出てきて、FBAは出てこない。
 
以上は変動証拠金の話だが、当初証拠金については話が変わってくる。
 
当初証拠金は再担保不可なので、
ファンディングベネフィットは発生せず、
ファンディングコストしか出てこない。
 
これが、当初証拠金に対応するMVAには、
ファンディングコストの方しかなく、
ファンディングベネフィットはないが、
変動証拠金に対応するFVAには、
コストのFCAと、ベネフィットのFBAの両方が含まれる理由である。
 
MVAはコストだけだが、
FVAにはFCAとFBAの両方が含まれる。
 
MVAとFVAはどちらも担保のファンディングに関する評価調整という点で似ており、
会社によってはFVAの中にMVAを含めようとしているとの報道もあったくらいだ。
しかしながら、これら2つは再担保可能かどうかという点で異なっており、それによって、
・コストとベネフィットが両方出てくるか
・コストだけか
の違いが出ている。

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