転換社債・優先株の取引条件と、数値解法の選択

以下ではプレーンな条項と特殊条項の2つに分けて書いていく。

まずはプレーンな条項として以下がある。

・期中利払い

・期中転換

・強制転換

期中利払いは、転換社債であればクーポン、優先株であれば優先配当と、名前は異なるが、性質は同じである。

期中転換は、投資家が普通株式に転換できるものであり、株式のアメリカンコールオプションである。

強制転換は、一定の期間を過ぎると、普通株式に強制的に転換される。

加えて以下のような特殊条項がある。

・転換価格修正

・初期転換価格の将来決定

・発行体コール

・投資家プット

転換価格修正は、転換価格が過去の株価推移に依存して変化するものであり、Moving Strikeと呼ばれる。

初期転換価格の将来決定は、初期の転換価格が将来時点に決定されるものであり、ストライクが将来にならないとわからない。 このように、約定時にストライクが未決定であり将来時点に決定されるオプションを、クリケットオプションと呼ぶ。

発行体コールは、発行体が早期償還できる権利である。 これには以下の2種類がある。

・ハードコール

・ソフトコール

ハードコールは、通常のコールであり、無条件で行使可能なものである。

ソフトコールは、株価が一定の条件を満たされたときに行使可能となるものである。 転換社債ではソフトコールの方をよく見かける。

投資家プットは、投資家が発行体に早期償還させる権利である。

プライシングするうえで問題になるのは、 実際の転換社債・優先株では、上記の様々な条項が組み合わせられている、ということだ。

まず、

・転換価格修正

・初期転換価格の将来決定

は経路依存の条項なので、モンテカルロ、あるいは最小二乗モンテカルロとの相性が良い。

ところが、

・発行体コール

・投資家プット

については、行使価値と継続価値の比較が必要になるため、PDEやツリーと相性が良い。

期中転換だけであればアメリカンオプションの解析近似解があるが、 たいていソフトコールと投資家プットが入っていたりするため、数値解法としてはPDEやツリーになるだろう。 さらに追加で経路依存の条項が入ってくると、PDEなどでもある程度対応できるが、実装がシンプルという意味では最小二乗モンテカルロが選択肢に入るだろう。

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