CBアセットスワップ(転換社債アセットスワップ)とは

ひとことで回答

CBアセットスワップとは、転換社債から株価変動リスクにさらされるエクイティ部分を除去し、クレジット部分のみを抜き出したものである。

何のためにあるの?

CBとはConvertible Bondの略で、転換社債のことである。
転換社債とは、将来に普通株式に転換できる権利が付いた社債のことで、社債に株式コールオプションが付いたものとみなせる。
社債には発行体のクレジットリスクがあり、発行体がデフォルトしたら元本割れする。
そういうわけで、以下のように転換社債はクレジット商品とエクイティ商品のハイブリッドである。

  • 社債:発行体のクレジットに賭けて高い利回りをもらうクレジット商品
  • 株式オプション:発行体の株価に賭けて追加的な利益をねらうエクイティ商品

しかしマーケット関係者は、

  • クレジット商品を取り扱う部署
  • エクイティ商品を取り扱う部署

が分かれており、クレジットとエクイティの両方に精通した人材は少ない。
そこで、CBをクレジット部分とエクイティ部分に分解し、クレジット部分はクレジット投資家に、エクイティ部分はエクイティ投資家に、分けて販売することがある。
その際に出てくるのがCBアセットスワップである。

  • クレジット部分はCBアセットスワップの形でクレジット投資家に販売
  • エクイティ部分はCBオプションの形でエクイティ投資家に販売

CBオプションについては以下の記事を参照。

ASCOT | Quant College

ASCOTのプライシング再訪 | Quant College

取引内容は?

CBアセットスワップは、CBのクーポンと変動金利を交換するスワップである。
すなわち、

  • CBのクーポン(0%であることが多い)
  • Libor+スプレッド

を交換するスワップである。Liborに乗せるスプレッドのことをアセットスワップスプレッドと呼ぶ。これはクレジットスプレッドに対応するものであり、クレジット投資家としては、発行体のクレジットリスクを負っていることによって、追加的に受け取れるプレミアムともいえる。

転換社債がデフォルトせず、株式への転換権が行使されなければ、アセットスワップは満期まで金利を交換して終了する。
デフォルトした場合と、転換権が行使された場合は、アセットスワップが中途解約されるが、これらについて以下で見ていく。

転換社債の発行体がデフォルトした場合

転換社債の保有者は、デフォルトした転換社債をクレジット投資家に額面で売りつけることができる。クレジット投資家としては、額面を支払い、デフォルトした転換社債(の回収額)を受け取るはめになるので、転換社債の(100%-回収率)の分だけ損失が出る。なのでクレジット投資家から見れば、単純に社債を買っているようなものである。

転換社債がデフォルトすると、CBクーポンの源泉であるCB(アセットスワップの元になっているアセット)が消えてなくなるわけなので、アセットスワップは途中で打ち切られ、クレジット投資家はそれ以降のクーポンを受け取れなくなる。

転換社債の保有者が転換権を行使した場合

CBには、普通株式への転換権が付いている。これは株式のコールオプションそのものであり、CB保有者はCB発行体の株価が転換価格より十分に高くなれば権利行使する可能性がある。権利行使されると、CBは普通株式に転換され、CBつまり社債は消えてなくなる。

するとCBがデフォルトした場合と同様、CBクーポンの源泉であるCB(アセットスワップの元になっているアセット)が消えてなくなるわけなので、アセットスワップは途中で打ち切られ、クレジット投資家はそれ以降のクーポンを受け取れなくなる。これは通常の社債にはない特徴であり、クレジット投資家からすれば不利な条件なので、受け取る(Libor+スプレッド)のスプレッドはその分だけ高くなるだろう。

SPCスキームとCBリパッケージ債

以上の内容は、投資家がCBアセットスワップというスワップ取引をやる前提での説明だが、投資家はデリバティブ取引をやりたがらないことが多い。

そのため、債券を担保にとってSPCを立て、投資家の代わりにSPCが証券会社とアセットスワップ取引をやる、というスキームにする。

  • SPCは担保にとった元の債券とは別の債券(リパッケージ債)を投資家に発行する
  • 投資家はリパッケージ債という債券を買い、SPCがアセットスワップで受け取った仕組クーポンを、リパッケージ債のクーポンとして受け取る

これをSPCスキームなどと呼ぶ。

SPCスキームによるリパッケージ債について、元手となる債券がCBの場合を、CBリパッケージ債などと呼ぶ。また、SPCスキームでCBを元手にリパッケージ債を発行するスキームを、CBリパックとかCBリパックスキームなどと呼ぶ。

CBリパッケージ債の流れは以下の通り。

  • 投資家はCBを担保としてSPCに預ける
  • SPCは裏で証券会社とCBアセットスワップを行う
  • SPCは投資家にCBリパッケージ債を発行する
  • SPCがCBアセットスワップで証券会社から受け取ったクーポンを、投資家はリパッケージ債のクーポンとして受け取る

参考文献

The Handbook of Hybrid Securities: Convertible Bonds, CoCo Bonds, and Bail-In (The Wiley Finance Series) by Jan De Spiegeleer Wim Schoutens Cynthia Van Hulle(2014-05-19)

The Risk Management of Contingent Convertible (CoCo) Bonds (SpringerBriefs in Finance)

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