Risk.net Updates: OTCドル担保金利のSOFR移行が遅れている

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OTCドル担保金利のSOFR移行が遅れている

参照記事はこちら(Risk.net)。
SOFR remains elusive in US dollar collateral agreements – Risk.net

LIBOR公表停止に伴い、SOFRがドルのRFRとして指定された。ドルの翌日物金利といえば、かつてはFFレート(Federal Funds Rate)であったが、SOFRがFFレートの後継として使われることになった。

実際、ドルOISといえばかつてはFFレートを参照するスワップのことだったが、今ではドルOISといえばSOFRを参照するスワップのことを指す。

金利スワップは今や中央清算機関(CCP)を通じて取引されており、CCPとの取引は有担保取引となっている。その担保契約(CSA契約と呼ぶ)において、やりとりする担保の種類を指定するが、その担保がドル現金の場合、担保に付けて受け払いする金利について、計算に用いる金利指標も指定する。

ドル現金の担保金利は、以前はFFレートであったが、CCPとの担保契約ではSOFRに移行している。このため、現在ではドル担保のディスカウントカーブといえば、FFカーブではなくSOFRカーブのことを意味する。

CCPとの取引ではドル担保金利がSOFRに移行し終わっているが、直接相対(OTC)の取引、例えばインターバンクの取引や、銀行と顧客との取引については、ドル担保金利がFFレートのままになっていることが多い。

今回のRisk.netの記事では、OTC取引において、ドル担保金利をFFレートからSOFRに書き換える動きが遅れていると指摘されている。
その理由について、

  • ドルLIBORが2023年6月末で公表停止になるため、そのための対応に追われていて後回しになっている
  • FFレートはLIBORとは異なり廃止されないので、そこまでの緊急性がない
  • 担保契約をひとつずつ、契約相手とコンタクトをとって担保金利変更を交渉するのが大変

などの点が挙げられている。

その他の記事

カウンターパーティクレジットリスク資本におけるエクスポージャー計算方法であるSA-CCRについて、その欠点を改善するための計算方法が提案されている。
Looking beyond SA-CCR – Risk.net

強化学習、逆強化学習を応用したアセットアロケーション手法に関するポッドキャスト。通常の強化学習では、最大化すべき報酬関数を人間が先に設定し、そのアウトプットとして最適戦略がアウトプットされるが、逆強化学習では、最適化された戦略をインプットすると、その戦略が最適になるような報酬関数がアウトプットされる。これを応用し、アセットマネジャーが実際にとった戦略を逆強化学習にインプットすることで、最適化すべき報酬関数を特定する。
Podcast: Halperin on reinforcement learning and option pricing – Risk.net

モデルバリデーション(モデル検証)にAI/機械学習を活用しようとする動きが出ている。モデル開発に比べると、開発されたモデルの検証は自動化できる余地が大きい。そこで、モデルバリデーションの自動化ツールを提供するシステムベンダーが営業をかけており、多くの金融機関が興味を示している。ところが、クオンツなどの現場サイドからは、自動化ツールがうまくワークするか疑問だとの声が出ている(これはモデルバリデーションクオンツのポジショントークもあるだろうが)。
Bot’s job? Quants question AI’s model validation powers – Risk.net

ドルLIBORの公表停止を23年6月末に控え、公表停止後に使う金利が定まっていない契約(タフレガシー契約)については、例外的にシンセティックLIBOR(合成LIBOR)を使うことになる。このシンセティックLIBORをどう求めるかについて、英国FCAは、CMEが運営するターム物SOFRをシンセティック(ドル)LIBORとして使うよう推奨した(ドルLIBORもあくまでLIBORなので、米国ではなく英国が管轄している)。欧州を拠点とするICEもターム物SOFRを公表し始めているが、あえて米国のCMEのターム物SOFRを採用することになったようだ。
FCA’s synthetic Libor plan could trigger US legal disputes – Risk.net

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