転換社債のプライシング

解説

転換社債をプライシングするには、株式と債券の両方の特徴をとらえる必要がある。

モデリングするファクターとしては、株価、金利、クレジットスプレッドがあるが、これらをすべて動的にモデリングするのは一般的ではない。
株価のみをモデリングし、金利やクレジットの影響については簡便的に織り込むことで済ませるケースが多い。
 
ワンファクターの場合は、株価をブラックショールズでモデリングし、ボラティリティやクレジットスプレッドはコンスタントとする。
数値計算手法としては、転換権を評価する必要があり、それに加えて、ソフトコール条項やプット条項が入っていることが多いため、満期からバックワードに評価する。このため、用いられるのはツリーかPDEのどちらかになるが、よく見かけるのはシンプルな二項ツリーである。
 
問題は、割引金利だが、株式なら無リスク金利、債券ならクレジットスプレッド込みの金利で割り引くが、転換社債の場合はツリーのノードによってそれが異なってくるので、多くの研究が行われてきた。
最も古典的なのは、各ノードにおける転換確率によって、無リスク金利とスプレッド込み金利の加重平均をとる、というもので、ゴールドマンサックスメソッドとも呼ばれる。この方法はざっくりとしているが、直観的にわかりやすいため今でもよく用いられている。
この方法は、クレジットスプレッドが株価の関数になっている、つまり、スプレッドが株価によって変化するため、ワンファクターとツーファクターの間、1.5ファクターといったところだ。
 
さらに進むと、株価にジャンププロセスを用いる方法がある。ブルームバーグはこれを採用している。株価はデフォルトすればゼロにジャンプするわけである。
 
ツーファクターとしては、株価に確率ボラティリティを仮定するとか、金利にハルホワイトモデルを用いるとかがありえるが、実務ではそれほど一般的ではないだろう。また、クレジットスプレッドに何かモデルを仮定する、というのも、スプレッドのボラティリティに対応する市場データ、つまり、CDSオプションのボラティリティがほとんど取得できないので、これも一般的ではないだろう。

参考文献

The Handbook of Hybrid Securities: Convertible Bonds, CoCo Bonds, and Bail-In (The Wiley Finance Series) by Jan De Spiegeleer Wim Schoutens Cynthia Van Hulle(2014-05-19)

Handbook of Corporate Equity Derivatives and Equity Capital Markets (The Wiley Finance Series 607) (English Edition)