【随時更新】CVAなどのXVAを勉強するのにおすすめの本:5冊

はじめに

今回はCVAなどの評価調整、いわゆるXVAを学ぶのにおすすめの本を紹介する。

なお、確率解析やBlack-Scholesモデルなどオプションプライシングの基礎を既に学んだ人向けであるため、それらをまだ学んでいない場合は、以下の記事におすすめの本を掲載しているので、先にそちらを確認してほしい。

以下、だいたいの難易度が易しいものから難しいものの順に説明する。

[1]

The XVA of Financial Derivatives: CVA, DVA and FVA Explained (Financial Engineering Explained) (English Edition)

  • CVA, DVA, FVAについて、そのコンセプト、計算の概要、実務で考慮すべきポイントをまとめた本。
  • 後述する[2] Gregory本と内容のレベルは同じくらいであり、数式は少ない。
  • 特徴は、200ページと比較的コンパクトにまとまっている点と、CVA, DVA, FVAに特化していて、KVAなどその他のXVAはほとんど書いていない点。
  • 説明がわかりやすく、それほど分厚くないので読み切れるところが良い。英語に抵抗がなければ、XVAではじめに読む本として良いだろう。
  • モデルや計算ロジックの詳細についてはあまり書かれていないため、クオンツにとっては後述する土屋本と合わせて読みたいところ。

[2]

xVAチャレンジ―デリバティブ評価調整の実際

  • XVAの第一人者であるGregoryのテキストの和訳版。日本語のXVA本であれば、初めに読むべき本はこれだろう。
  • 数式はほとんどなく、ファイナンスの知識もそれほど必要なく読める本である。フロント部署の人に限らず、財務・経理など間接部門の人や、規制当局担当者、会計士・税理士など、多様な読者に読んでもらうことを目的に書かれている。
  • 一方で、モデルや実装について詳しく学びたいクオンツにとっては物足りないので、後述するその他の本で補完すれば良いだろう。
  • XVAとそれに関連する内容について、基本的な考え方が網羅的に書かれている。ネッティング、担保、CCP、パス生成のモデル、商品ごとのエクスポージャー形状、クレジットスプレッドとファンディングスプレッド、OIS割引とColVA、CVA/DVA, FVA, MVA, KVA、XVAのヘッジと最適化、などである。
  • 説明の文章はわかりやすく、翻訳にも違和感はない。グラフが多く載っており、内容を視覚的に理解できるようになっている。
  • 著者GregoryのWebサイトでは、簡単な計算ができるExcelシートと、本では省略されている数式展開の補足資料をダウンロードできる。計算のイメージを確認したい人はExcelシート、クオンツやトレーダーの人は補足資料でさらに学べば良いだろう。
  • とにかく分厚いのがネックである。

[3]

XVAモデルの理論と実務

  • システムベンダーのクオンツが書いたXVA本で、これは一般の人向けではなくクオンツやトレーダー向けの本である。
  • 特徴は、カウンターパーティリスクや規制などの一般的な内容はほぼなく、XVA計算のモデル、キャリブレーション、数値解法に特化しているという点。
  • 内容としては、金利のHull-Whiteモデル、為替のBS-HW-HWモデル、それらのキャリブレーション、Mean Reversionと金利自己相関の関係、最小二乗モンテカルロ(LSM)の注意点、FVAの理論的な説明、誤方向リスク、などである。
  • 特にキャリブレーション、Mean Reversionの説明、LSMを使う際の注意点、あたりが役に立った。LSMを使う際の注意点は、金利モデルの有名なテキスト:Andersen-Piterbarg本を参考にしていると思われるが、これはかなり実務で役立つ内容だろう。FVAの理論的な説明は、著者独自の研究をもとにしたものであり、内容が少しクセ強めだがおもしろい。
  • 数式が結構出てくるものの、文章による説明も多くて読みやすい。式変形は、たまに誤植も見受けられるが、十分わかりやすいといえる。
  • 比較的薄い本であり、XVAのテクニカルな内容が日本語でこれだけ幅広く読める、というのはかなり貴重である。

[4]

XVA Desks – A New Era for Risk Management: Understanding, Building and Managing Counterparty, Funding and Capital Risk (Applied Quantitative Finance) (English Edition)

  • 数式は[3] 土屋本より少ない印象だが、KVAなど内容が比較的新しいものであるため、4冊目として紹介する。
  • 前半は[2] Gregory本と似ているが、後半はCVAデスク、FVAデスク、KVAデスクについて詳細に説明されている。理論よりも実務に焦点を当てている本である。
  • 最近は日系でも大手の金融機関であれば、CVA導入済みで、それと同時にCVAデスクを立ち上げたという話も聞く。このような大手金融機関の人で、より先進的なXVAデスクの位置づけと業務、それに関連する用語と計算方法、などをまとめて確認したい人におすすめ。
  • 約400ページあるので、文章量は結構多い。

[5]

XVA: Credit, Funding and Capital Valuation Adjustments (The Wiley Finance Series)

  • クオンツにとって、XVAの本といえば現時点では間違いなくこれである。完全にクオンツ向けなので数式は多いが、多くの論文のサマリーが載っていて有益である。
  • 特徴は、XVAの計算方法について、モデルと数値解法、実装の注意点などが詳しく書かれている点である。特に金利の期間構造モデルの説明が詳細にまとまっている。MVAやKVAといった比較的新しいトピックもカバーされている。
  • 理論的なフレームワーク、具体的な計算方法、XVAの管理や最適化、が網羅的に書かれている。XVA感応度など、実装における難所についても解説されている。
  • XVAについて腰を据えて学びたいクオンツにおすすめ。
  • 何でも載っている反面、500ページ弱と分厚い。

おわりに

今回はCVAなどのXVAを学ぶのにおすすめの本を紹介した。
前提知識がない場合、初めに読むなら[2] Gregory本で、英語にあまり抵抗がないなら[1] Lu本だろう。
クオンツなど、計算ロジックを学ぶなら[3] 土屋本から読んでみるのがいいだろう。

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