Mutual Put条項とは

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解説

上記の記事でも説明してきたが、改めてもう少し整理したい。

金利スワップなど満期の長いデリバティブには中途解約条項が付いていることがある。これは、将来的に取引相手のクレジットが悪化した際、こちらの勝ちポジションの清算時に踏み倒されることを恐れて追加している条項である。

中途解約時には、その時点での時価で勝ち負けを清算する。つまり時価がマイナスの会社から時価がプラスの会社に清算金が支払われる。

プライシング上は、スワップションのフィジカルセトル(現物決済 / スワップ決済)とキャッシュセトル(現金決済 / 差金決済)の違いをイメージすればよい。

中途解約されて清算金が支払われるケースというのは、キャッシュセトルと同じことであり、その時点での時価を受け払いする。

一方で、中途解約されないケースというのは、フィジカルセトルと同じことであり、スワップを継続することにより、そのスワップ時価を将来に渡って実現させていくことになる。

以上のような中途解約条項はBreak Clauseと呼ばれ、主に3種類に分かれる。

(1)Mandatory Break
(2)Optional Breakで、双方に付与されているもの(Mutual Put)
(3)Optional Breakで、片方に権利が付与されているもの(One-sided)

まず、MandatoryなものとOptionalなものに分かれる。

Mandatory Breakとは、あらかじめ決められた期日が来たらマストで中途解約されるものである。これは必ず行使されるのが事前にわかっていることから、解約日が近づいてくると、解約後にまた同様の取引を組み直す準備が始まり、中途解約後に取引をロールすることになる。

Optional Breakとは、義務ではなく権利であり、取引当事者の双方または片方が権利を行使すれば解約できるものである。これは、クライアントリレーション上の問題が生じる恐れがあることから、リーマンショック以前はほとんど行使されることはなかった。顧客はもっと長期で取引したいと思っているのに短期で打ち切られるわけであり、同様の取引を組み直すにしても事務負担がかかるため、顧客からは嫌がられる傾向にあるだろう。しかしながら、リーマンショック後はカウンターパーティリスクがクローズアップされるようになり、Optionalであっても権利行使されるケースが増えてきたようだ。

Optionalなもののうち、取引当事者の双方に権利が付与されているものをMutual Putと呼ぶ。つまりどちらか片方の都合によって中途解約される可能性がある。一方で、取引当事者の片方にしか権利が付与されていないOne-sidedのケースもある。

次回はこのBreak ClauseやMutual Putが、CVAや将来エクスポージャーに与える影響について考えてみる。

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参考文献