CVAを計算するのに必要なモデルたち

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解説

最近は地銀でもCVA計算が検討され始めているようで、隔世の感がある。彼らはベンダーシステムを購入するはずだが、ここではCVAを計算する場合に必要なモデルやロジックをその概要とともに列挙していく。

一つ目はエクスポージャーをシミュレーションするためのシナリオ生成モデルである。金利、為替、株価、コモディティ価格などを同時にシミュレーションするためのハイブリッドモデルが必要になる。よくあるのは、金利はワンファクターHull-White、為替は金利にHullWhite、スポット為替固有のリスクファクターにはBlack-Scholesを用いる、というものだ。株価やコモディティも為替と同様である。この場合、金利は正規分布、Discount Factorは対数正規分布、為替、株価、コモディティ価格も対数正規分布に従うことになる。このようにすべてのアセットクラスをLGMモデルの枠組みで表現するものを、Cross Asset LGMモデルと言うことがある。クレジットについては、きちんとやるには確率的に動かす必要があるが、CDSなどクレジット商品のポジションが小さければ、簡便的にDeterministicとする、つまりシミュレーションしない、というケースも多い。しかしこれでは仮にクレジット商品をほとんど持っていなかったとしても、誤方向リスクを考慮できないのが問題だ。もっとも、実務では誤方向リスクを精緻に考慮するというのは、まだあまり一般的ではない印象だ。

二つ目はプロキシースプレッドモデルである。銀行であれば特に、多くのカウンターパーティには対応するシングルネームCDSがないため、仮想的なCDSスプレッドを作る必要がある。これをプロキシースプレッドと言うが、マーケットにあるCDSをかき集めてきて、それを使って良い感じに推定するためのロジックが必要になる。ロジックとしては大きく分けて2通りあって、クロスセクション法とインターセクション法である。詳細は以下の記事を参照されたい。

三つ目は相関係数を推定するロジックである。これはモデルというような大げさなものではないが、何かしら統一的な方法を使う必要がある。多くのアセットクラスがあるが、欠損値を別の方法で埋めたり、アセットクラス間の相関を別々のデータ・方法で推定したりすると、それらを1つの相関行列に合体させた際、行列が半正定値にならない場合がある。コレスキー分解ができないというわけだが、要するに大まかなイメージとしては、ポートフォリオの分散がマイナスになってしまう、という感じだ。このため、時価評価とは別に、CVA計算のために全てのアセットクラス間の相関を統一的に求める必要がある。

四つ目は簡易計算モデルである。CVA計算が段階的に導入されることがよくある。はじめはバニラ商品のみを入れて、エキゾチック商品は後回しにする、といったものだ。もしくはマイナーなアセットクラスは後回しにする、とかである。そのほか、計算が複雑なエキゾチック商品や、マイナーなアセットクラスは、いったん簡易計算で対応しておく、という方法もある。この場合、正確ではないがざっくりした結果を得られる簡易計算ロジックが必要である。ロジックは会社によるだろうが、よくあるのは、
・規制の標準的手法を参考にする
・VaRのように感応度ベースでなんとかして求める
などである。規制モデルについては例えば、規制資本の計算に使われるSA-CCRを参考にする、という方法がある。計算が難しいのはエクスポージャーを求めるところだから、その部分をSA-CCRの計算式で置き換えよう、というものである。

規制モデルは計算がシンプルであり、解析的に求まるため、シミュレーションが不要で手っ取り早い、というわけである。しかしその一方で、規制モデルはそもそも当局がかなり保守的にロジックやパラメーターを設定しているため、エクスポージャーが過大計上されてしまう、という問題もある。

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