CompatibL, Murex, NumerixによるxVAに関する対談

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解説

記事

1.xVA実務の現状における課題について

・計算方法が標準化されておらず、各社が異なる方法で行っていることが問題。

 これは、財務諸表などで各社の方法がきちんと開示されていないことも一つの要因。

 xVAの各構成要素を正確に評価できない会社が、隠れたコストを含む価格で買わされる

 ことにつながる。

・xVAの計算・管理について、全社的に取り組む必要があることは各社とも認識しているが、

 そのために必要なテクノロジーと組織を持っていない。

 xVAを管理するには、複数のトレーディングデスクをまたいで行う必要があるため、

 既存の業務プロセスやシステムを統合することが求められる。

・FRTBなど、規制に不確定要因が多いため、KVAなどは今後の規制変更に

 柔軟に対応していく必要がある。

・計算面の問題としては、リアルタイムの取引前におけるxVA計算の負荷が非常に大きい

 ことが挙げられる。

2.MVAについてはまだ業界標準の方法が定まっておらず、

  MVAを価格に反映する会社が少ないことについて:

・非清算集中デリバに対する証拠金規制は今後、対象となる金融機関の範囲が

 中小へ広がっていくことになる。

 ところが、将来のIMをシミュレーションする必要があり、これはCCPではVaR、非CCPでは

 ISDA SIMMについて、将来時点の値を求めることになる。

 この計算負荷は大きいことから、計算の精度とスピードのトレードオフが必ず生じるため、

 各金融機関はそれぞれの目的とポートフォリオ構成に合わせて、各自で妥協点を決める

 ことになる。したがって、金融機関ごとに異なる方法が共存し得る。

・MVAは大きな構成要素であるため、単体取引のMVAについてはやがて標準的な方法に

 収束することが予想されるが、インクリメンタルMVAについては収束に時間がかかる。

3.業界が最も頭を悩ませているxVAの構成要素はどれか?

・MVAは日次のポートフォリオVaRを将来に渡ってシミュレーションしなければならず、

 多くの金融機関がチャレンジングだと考えている。

・KVAについても、資本の計算自体が複雑であり、特に内部モデルを採用している場合は

 やっかいである。モンテカルロシミュレーション内部で複雑な計算をすることになる。

 また、将来に規制内容が変更になる可能性も織り込む必要があるため、チャレンジングだ。

・現在の標準的なKVA計算はハードルレート(期待ROE)を基に行われているが、

 最近のDuffieらの論文はそうではなく、銀行のバランスシート全体の分析と

 「余剰負債」の考え方に基づくことを提唱しており、

 ロジック面についてもまだ収束しているとはいえない。

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