違いは
- コーラブル債は、発行体が早期償還できる権利を持つ債券で、権利を持っているのは発行体。
- プッタブル債は、投資家が発行体に早期償還させる権利を持つ債券で、権利を持っているのは投資家。
コーラブル債
プッタブル債よりこちらの方がよく見かける。
コーラブル債は、発行体が借金を予定より早く返す権利を持っている。
コーラブル債のクーポンレートより市場金利が下がれば、早く借金を返して、足元の低金利で新たに借金をし直す(借り換え)ほうが有利である。
したがって、コーラブル債は市場金利が下がると、発行体が権利行使して早期償還される可能性が高まる。
これは発行体がオプションを持っているわけなので、債券を買う側の投資家からすれば不利な条件である。よって、その他の条件が全て同じであれば、額面で発行する場合、コーラブル債のクーポンレートはノンコーラブル債よりも高く設定できる。
その代わり、投資家は通常のノンコーラブル債に加えて、発行体にオプションを売っていることになる。オプション価値は必ずプラスであり、その売りポジションなので、コーラブル部分の価値はマイナスで出てくる。
プッタブル債
プッタブル債は、投資家が貸したお金(運用しているお金)を予定より早く返済させる権利を持っている。
プッタブル債のクーポンレートより市場金利が上がれば、早く貸したお金を返してもらって、足元の高金利で新たに運用し直す(再投資)ほうが有利である。
したがって、プッタブル債は市場金利が上がると、投資家が権利行使して、投資家に早期償還させる可能性が高まる。
これは投資家がオプションを持っているわけなので、投資家に有利な条件である。よって、その他の条件が全て同じであれば、額面で発行する場合、プッタブル債のクーポンレートはノンコーラブル債よりも低く設定される。
その代わり、投資家は通常のノンコーラブル債に加えて、将来に権利行使できるオプションを持っていることになる。 オプション価値は必ずプラスであり、その買いポジションなので、プッタブル部分の価値はプラスで出てくる。
覚え方
コーラブル債
コーラブル債が権利行使されるのは、市場金利が下がったときである。
市場金利が下がると、将来キャッシュフローの割引が弱まるので、債券の市場価値は上がる。
したがって、債券の市場価値が額面よりも高くなるとインザマネーになる(=権利行使のメリットがある)。
よって、額面を債券の行使価格と考えれば、
市場価値 > 行使価格
となるとインザマネーである。これはすなわち、
原資産価格 > 行使価格
となったら権利行使されるということなので、まさにコールオプションの形である。
発行体がコールオプションを持っているのでコーラブル債、というわけである。
プッタブル債
プッタブル債が権利行使されるのは、市場金利が上がったときである。
市場金利が上がると、将来キャッシュフローの割引が強まるので、債券の市場価値は下がる。
したがって、債券の市場価値が額面よりも低くなるとインザマネーになる(=権利行使のメリットがある)。
よって、額面を債券の行使価格と考えれば、
市場価値 < 行使価格
となるとインザマネーである。これはすなわち、
原資産価格 < 行使価格
となったら権利行使されるということなので、まさにプットオプションの形である。
投資家がプットオプションを持っているのでプッタブル債、というわけである。
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