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解説
CVAと同時にDVAも計算する場合、カウンターパーティと自社のFirst To Defaultを考慮すべきかという問題がある。
CVAとDVAを両方考慮するということは、カウンターパーティもデフォルトするかもしれないし、自社もデフォルトするかもしれない、と考えているわけである。
自社が先にデフォルトして、その後にカウンターパーティがデフォルトするシナリオでは、CVAはゼロである。カウンターパーティがデフォルトするころには自社に対するエクスポージャーは清算されてなくなっているからである。
一方、カウンターパーティが先にデフォルトして、その後に自社がデフォルトするシナリオでは、DVAはゼロである。自社がデフォルトするころには、カウンターパーティに対するエクスポージャーは清算されてなくなっているからである。
このため、CVAの計算に含めないといけないのは、最長取引の満期までの間に、自社のデフォルトより先にカウンターパーティがデフォルトするシナリオのみである。そうしないとCVAが過大計上される。
同様に、DVAの計算に含めないといけないのは、最長取引の満期までの間に、カウンターパーティより先に自社がデフォルトするシナリオのみである。そうしないとDVAが過大計上される。
このように、カウンターパーティと自社で先にデフォルトする方のみを考慮することから、First To Defaultと呼ばれる。
CVAとDVAを両方考慮するということはつまり、カウンターパーティと自社が両方デフォルトし得ると仮定して計算していることになる。このため、厳密にはFirst To Defaultは考慮すべき、ということになる。
しかしながら、実務ではそれは考慮しないことが一般的である。理由は、
・満期までに両方がデフォルトするのはまれであることから、結果の数値があまり変わらない
・計算プロセスがより複雑になる
・CVAの感応度に自社CDSスプレッドのデルタが出てくる、DVAの感応度にカウンターパーティCDSスプレッドのデルタが出てくるなど、リスク管理が複雑化する
といったものである。CVAとDVAの両方を価格に織り込んでいながら、それぞれを計算するときには片方はデフォルトしない前提になっている。
これは明らかに不整合が起こっているわけだが、実務では無視してしまっているのである。
これについては規制CVAでも特に考慮することが要求されているわけではないため、おとがめなしとなっている。
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