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解説
有担保取引のCVAは無担保取引のCVAに比べて大きく減少するが、ここで、担保には変動証拠金と当初証拠金の2種類があることを忘れてはならない。
・変動証拠金は、日々の時価変動を相殺するもの
・当初証拠金は、デフォルト損失のうち、変動証拠金ではカバーしきれない部分を相殺するもの
である。
変動証拠金ではカバーしきれない部分には、担保受領の遅延、クローズアウト時のコストなどがある。
このうち、典型的なのは担保受領の遅延であり、この遅延を表すのがマージンピリオドMPoRである。マージンピリオドの存在により発生する担保不足を補うのが、当初証拠金である。
このように、当初証拠金は変動証拠金にさらに上乗せして払う担保であり、必要以上に担保を積んでいる、超過担保の状態を生み出す。この意味で、当初証拠金は負の信用極度額とみなせる。信用極度額は、その分だけ担保不足の状態を生み出すので、超過担保の状態を生み出す当初証拠金とは、正反対の効果を持っているわけである。
当初証拠金は、
・中央清算機関CCPとの取引
・清算されないOTC取引
のいずれにおいても差し入れる必要がある。このため、有担保CVAの計算においても、理想的には当初証拠金の効果を織り込むことが望ましい。つまり、有担保なので変動証拠金によってCVAは減少するのだが、それに加えて、当初証拠金による超過担保の分だけ、CVAはさらに減少するはずなのである。
しかしながら、実務では当初証拠金によるCVAの減少効果を反映できているケースは少ない。特に日系金融機関では、CVA計算にあたって当初証拠金による減少効果を考慮していないと考えられる。
XVA全体で見ると、当初証拠金によってCVAとKVAは減るが、MVAが増えることになる。このようなXVA間のトレードオフについても今後書いていきたい。
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