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解説
マージンピリオド、つまりMPoRのモデリングで注意すべき点を追記しておく。
マージンピリオドは、デフォルト前とデフォルト後の2つの期間に分けられる。
⑴デフォルト前とは、カウンターパーティが担保支払いを遅延し始めてから、デフォルトするまでの期間のこと
⑵デフォルト後とは、デフォルトしてから、クローズアウト処理が完了するまでの期間のこと
ここで、デフォルト後の期間においては、実際にはクローズアウト処理が徐々に進むことになる。
つまり、カウンターパーティのデリバティブ債権債務が、まとめて一度で清算されるわけではなく、何回かに分けて少しずつ清算される。
したがって、デフォルト後は、清算が進むにつれてエクスポージャーが徐々に減少していくことが考えられる。
しかしながら、CVA計算の実務で一般的なのは、クローズアウト処理がまとめて一回で完了する、と仮定することだ。
つまり、デフォルト後にエクスポージャーが徐々に減少するのではなく、クローズアウト完了日に一度でゼロになる、と仮定している。
もし仮にエクスポージャーが徐々に減少していくことを考慮したい場合は、MPoRを少し短めに設定して計算することが考えられる。
クローズアウト処理と同様に、担保ディスピュートを考慮すると、エクスポージャーが段階的に減少していくことが考えられる。
担保ディスピュートが発生すると、
・合意済みの担保金額は先に授受される
・一方で、ディスピュート対象になっている一部の担保金額のみが遅延する
ということになる。
よって一足先に決済される担保金額だけエクスポージャーが減少するはずだが、これも実務ではモデリングされていない。
次の注意点としては、デフォルト後の期間はデフォルト前に比べて、市場のボラティリティが上昇するはず、という点である。
しかし実務ではシナリオ生成モデルのボラティリティをデフォルト前後で使い分けるのは困難である。
もし仮にこのボラティリティ上昇を考慮に入れたい場合は、ルートT倍法を使うことが考えられる。
デフォルト後のボラティリティを2倍にする代わりに、MPoRを4倍にするのである。
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