マージンピリオドとは

こちらもおすすめ

【初心者向け】CVAの体系的まとめnote | Quant College

LIBOR廃止とRFR移行のまとめ | Quant College

金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College

解説

CVA計算で重要な設定の1つに、マージンピリオドがある。Margin Period of Riskというもので、略してMPoRともいう。

これは、取引相手からの担保支払いが滞ってからデフォルトするまでの期間を表しており、実務慣行としては10営業日、つまり暦日ベースで2週間と設定することが多い。
 
人間でも、元気でピンピンしていた人がある日急に死亡することはまれであり、むしろ、病気になって入院し、歩けなくなり、弱っていって最後に心臓が止まる、ということが多いだろう。
それと同じで、企業も、財務状態が悪くなり、担保支払いができなくなり、最後に破産申請する、というように、弱っていく期間がある。これを考慮に入れるためのインプットがMPoRである。
 
この、担保支払いが滞り始めてから10営業日後にデフォルトするという仮定については、本当にそうなのかと言われると、決め手に欠ける気がするが、実務では一般的に用いられており、決めの問題ともいえる。
さらに、相手の担保支払いが滞り始めた後も、自社はそのままデリバティブのキャッシュフローを支払い続けるのか、などなど、MPoRの期間に実務で何が起きるのかをモデリングしようとすると、考慮すべき点はかなり多い。
 
完全有担保取引であればCVAがゼロになるかというと、そうではなく、このMPoRからCVAが出てくる。なぜなら、この期間の市場変動に対しては担保が入ってこないため、その分のエクスポージャーが発生するからである。
 
このエクスポージャーを計算するには、シミュレーショングリッドを、デフォルト時点に加えて、それらからMPoRだけ手前に戻った時点にも置く必要がある。MPoRだけ手前にさかのぼった時点における時価と、その10営業日後のデフォルト時点における時価を計算し、その差からエクスポージャーが出てくる。

こちらもおすすめ

【初心者向け】CVAの体系的まとめnote | Quant College

LIBOR廃止とRFR移行のまとめ | Quant College

金融工学関連でおすすめの本:まとめ(目次) | Quant College