マージンピリオドのモデリング

マージンピリオドの間に起こることを精緻に計算に反映しようとする試みがある。以前にRethinking Margin Period of Riskという論文が出て、リスクマガジンにも載ったことで広まった。

 
マージンピリオド中に起こる事象とそれに関連する時点には、次のようなものがある。
 
⑴ 相手の担保支払いが滞り始める時点
⑵ それを受けて、自社の担保支払いを止める時点
⑶ 相手のデリバティブキャッシュフローが滞り始める時点
⑷ それを受けて、自社のデリバティブキャッシュフロー支払いを止める時点
⑸ 相手がついにデフォルトする時点
⑹ 相手のデフォルトに伴うデリバティブ契約の精算が完了する時点
 
まず、担保の受け払いと、デリバティブのキャッシュフローの受け払いは区別しないといけないのだが、何も仮定を置かないと、デリバティブのキャッシュフローがデフォルト時点まで互いに受け払いされる前提の計算になってしまう。
 
次に、相手からの担保支払いが滞っているのに、自社のネット時価がマイナスになった日に、自社が相手にバカ正直に担保を支払うだろうか、という問題がある。相手がデフォルトしそうで担保を支払ってくれないのであれば、早めに自社からの担保支払いも止めた方が良いだろう。
デリバティブのキャッシュフローについても同じことが言える。
 
さらに、実際には⑸と⑹の間には結構長いギャップがあるはずなのだが、簡便的にこの2つを同一視していることも多い。
 

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