ここで、無裁定価格についてレビューしておこう。
デリバティブの無裁定価格は、銀行預金と原資産の数量をうまく組み合わせて、デリバティブのキャッシュフローを複製した場合の、銀行預金と原資産の価格を合計したものである。
つまり、
(デリバティブのキャッシュフロー)=(銀行預金への投資割合)×(銀行預金のキャッシュフロー)+(原資産への投資割合)×(原資産のキャッシュフロー)
とできた場合、
(デリバティブの価格)=(銀行預金への投資割合)×(銀行預金の価格)+(原資産への投資割合)×(原資産の価格)
となるだろうということである。
仮に、デリバティブとそれを複製したものとで、キャッシュフローが同じなのに価格が異なる場合、高い方を売って安い方を買えば確率1で利益が得られる。
デリバティブの方が高い場合は、デリバティブを空売りして、銀行預金と原資産に投資する。
デリバティブの方が安い場合は、銀行預金と原資産を空売りして、デリバティブに投資する。
これが裁定取引になる。
無裁定価格というのは、この裁定取引が存在しないように決まる価格のことであるから、
必然的に、デリバティブの無裁定価格は、銀行預金と原資産の合計価格に一致しないといけない。
このように決まるデリバティブの無裁定価格のことを、デリバティブの理論価格とするわけである。
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