日本はLiborからTonarではなくTiborの可能性も??

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ざっくり解説

日本のRFRへの実務上困難ではないか、という記事がRiskに出ている。
日本のLiborの代替金利(RFR)はTonarだが、Tonarを参照する取引の流動性が低く、
それらを用いてイールドカーブを生成するのは望ましくないのではないか、との意見がある。
日銀のマイナス金利政策もあり、日本ではいまだ金利先高感が出てきておらず、
ただでさえ金利のヘッジニーズが後退している。
このような中、Liborよりもかなり流動性が低いTonar商品については、しばらく取引量が増える兆しがない。

LiborからRFRへ移行するのに伴い、議論となっているのが、
フォワードルッキングな金利を使うか、バックワードルッキングな金利を使うか、という話である。

フォワードルッキングな金利というのは、ターム物金利(term rate)と呼ばれることもあるが、
これは、付利期間が開始する前に金利が決定するものであり、Liborが典型である。
Libor6Mであれば、付利期間が開始する2営業日前に金利が決定され、6カ月後の利払い額が確定する。
金利決定日から見て付利期間が将来にきているからフォワードルッキングである。

一方、バックワードルッキングな金利というのは、付利期間が終了する段階になって初めて金利が決定するものであり、
Tonarなど、OISの変動金利インデックスに設定されているものには、バックワードルッキングな金利が多い。
これは、付利期間中の各営業日に観測されたオーバーナイト金利を平均したものだからである。
よって、付利期間中の最後の営業日におけるオーバーナイト金利が観測されない限り、正式な金利は決まらない。
金利決定日から見て付利期間が過去にきているからバックワードルッキングである。

バイサイドや事業法人など、デリバティブのエンドユーザーは、フォワードルッキングな金利を好む。
これは、付利期間が始まるより前に、利払い額が確定するため、資金計画が立てやすい、ということのようだ。
バックワードルッキングな金利の場合は、正式な利払い額が、利払い日の直前にならないとわからない。
(もっとも、付利期間中の金利を平均するわけなので、付利期間の終盤には、金利の水準はだいたい決まっている。)
それに加えて、バックワードルッキングな金利の場合は、
オーバーナイト金利をシステムにインプットするオペレーション(Fixing処理)が毎営業日発生し、事務負担が大きいようだ。
そんなことをさせられるくらいなら、LiborからTonarではなく、Tiborに移行したい、という事業法人も多い。
しかも、TonarよりはTiborの方が、それを参照するデリバティブ取引の種類や流動性が比較的充実している。

Tonarなど、RFR自体はバックワードルッキングな金利なのだが、Liborの代わりとなるためには、
RFRに対応するフォワードルッキングな金利を開発する必要がある。
市場では、RFRを参照するデリバティブ取引(FutureやSwap)のレートから、
フォワードルッキングなRFRを計算する案も出ているが、実務上なかなか困難な点も多いようだ。
特にTonarについては、OISなど、Tonarを参照する取引の流動性が他通貨に比べてあまりにも少なく、
これを用いてフォワードルッキングなRFRを開発するのはいかがなものか、という意見が出ている。
Tokyo Financial Exchange(TFX、東京金融取引所)では、Tonarを参照するFutureを2020年までに整備するとしているが、
市場では、TFXのTonar Futureの流動性にはあまり期待できず、
これを用いてフォワードルッキングなRFRを開発するのは困難だろう、との見方が出ている。

日本と同じようにマイナス金利が常態化しているスイスでは、
RFRを参照するFutureやSwapからフォワードルッキングな金利を求めるのは、流動性がなさすぎて無理と判断し、
日次でFixingを繰り返すcompounded term rateを用いる方向となっている。
これはバックワードルッキングな金利なので、日本では事業法人などから反対があるだろう。

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