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解説
プロキシースプレッドとは、マーケットからCDSスプレッドが取得できないカウンターパーティに対して求めた、仮想的なCDSスプレッドのことである。
求めるには、取得できるCDSスプレッドを全て用いて推定する。このとき、地域、業種、格付、の3つの軸を考慮することが多い。
推定方法は2つに分かれる。
⑴インターセクション推定
⑵クロスセクション推定
⑴インターセクション推定は、3つの軸が「全て」共通する企業を1つのグループとして推定するものである。
例えば、北米の、エネルギー関連の、格付がシングルAの企業たち、を1つのグループとする。同じグループに属している企業のCDSスプレッドを集めて平均したものを、そのグループのプロキシースプレッドとする。
しかしこの方法では、3つの軸が全て共通するものだけをサンプルとするため、サンプル数が少なくなったり、ゼロになることもある。
⑵クロスセクション推定は、3つの軸のうち、「少なくとも1つ」共通する企業を1つのグループとして推定する。例えば、
・日本で、格付がBBBで、ヘルスケアセクターのCDSが取得できなくても、
・北米で、格付がAで、ヘルスケアセクターのCDSが取得できれば、それを推定のサンプルとして用いる。
このとき、以下のようにそれぞれの軸に含まれる各ファクターを考える。
・地域については、北米、欧州、アジア、などがファクター
・業種については、金融、ヘルスケア、エネルギー、などがファクター
・格付については、AAA, AA, A, BBBなどがファクター
これら各ファクターについてダミー変数を立てて、その係数を回帰分析で推定する。
よって、ファクターは、北米、欧州、アジア、金融、ヘルスケア、エネルギー、AAA、AA、A、BBB、などである。これらの各ダミー変数の係数を推定する。
あとは、係数の推定値を用いて、ファクターの組み合わせ全てについて、スプレッドの推定値を求める。
クロスセクション推定は、サンプル数が多くなることで、推定結果が安定する。
インターセクション推定では、格付の変化によって、サンプル数が1つ減るだけで、サンプル数の少ないグループは推定結果がジャンプしてしまう。このように、各グループに入るサンプル数が少ないと、1つのサンプルの影響がグループ全体に波及してしまう。これにより、時系列での推定結果が不安定になる恐れがある。
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