ディスカウントカーブでFVAを考慮できるのか?

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解説

FVAを時価評価に反映する方法は大きく分けて2つあり、

・CVAと同様にエクスポージャーをシミュレーションする方法
・ディスカウントカーブにファンディングスプレッドを反映する方法
である。
 
当然ながら1つ目が正しい方法なのだが、会社によっては2つ目の方法をいまだに使っているようだ。
ディスカウントカーブに反映する方法は、かなりざっくりとしか計算できないものである。
 
まず、エクスポージャーによる方法では、無担保取引をLiborフラットで割り引いているのであれば、それを基準価値として、それに対する調整としてLiborベースのFVAを差し引く。
 
一方で、ディスカウントカーブによる方法では、Liborフラットのディスカウントカーブにファンディングスプレッドを乗せた、いわゆる無担保ファンディングカーブを作り、それで割り引いたものをFVA考慮後の時価評価とする。つまり、FVAもろともまとめて1回で計算してしまおう、というものだ。ファンディングスプレッドの分だけ割引がきつくなるので、FVAコストを差し引いた後の時価が直接出てくる、と考える。
 
この方法の問題点は以下の通り。
 
・無担保の場合にしか適用できず、部分担保のFVAや、片方向CSAには対応できない。
 
・ファンディングコストとファンディングベネフィットを分けて考えることができない。
 
・ファンディングベネフィットを分離できないため、DVAを考慮している場合、ダブルカウントが避けられない。
 
特に、ダブルカウントを避けられないのは痛い。今後の潮流としては、日本でもIFRSと同様に、会計ではDVAも報告することになると考えられるため、この方法ではFVAも考慮するとダブルカウントになってしまう。

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