ファンディングベネフィットの説明として2種類が見られる。
1つは、有担保サイドで入ってきた担保を無担保サイドで支払う必要がないため、これを他の取引で必要なファンディングに流用するものだ。これは、無担保ファンディングしないといけなかったものが、それよりも割安な有担保ファンディングで済んだことによるベネフィットである。無担保ファンディングが減ることによるファンディングベネフィットだ。
この説明の場合は、金融機関が常にキャッシュプア、つまりキャッシュを手元に放置することはせず、何かしらのビジネスに活用しているとの仮定を置いている。この仮定は証券会社などにはある程度当てはまるのかもしれないが、商業銀行にはあまり当てはまらないだろう。
もう1つは、有担保で入ってきた担保を他の取引の担保として流用することはせずに、運用にまわせる、と仮定するものだ。しかしここで、第三者に貸し出すとすると、その第三者の信用リスクを抱えることになる。すると、カウンターパーティ、自社、あるいはクレジットデリバティブの参照企業に加えて、貸出先の信用リスクまでもが入ってくることから、定式化が複雑になるため、無リスク金利で運用する、と仮定する場合もあるようだ。
主流なのはおそらく前者の、無担保でファンディングしないといけない金額が減る、というベネフィットの方だろうか。xVA計測システムとしては、ファンディングカーブに加えてレンディングカーブをインプットできる場合が多い。しかし、システムはあらかじめ期間構造を入れられるよう柔軟に作っておくが、実務としては、期間によらずファンディングスプレッドはコンスタントで入れてしまう、というケースもある。
—–