実務で直接に使う数学は?
実務で出てくるという意味では以下のあたり。
- 確率解析
- 偏微分方程式
- フーリエ解析
- 時系列分析
- 機械学習
デリバティブクオンツは確率解析が必須である。
あとはアルゴトレードクオンツもOU過程などの知識が必要。
偏微分方程式は熱伝導方程式だけ見ておけばよい。実務上は数値的に解くことがほとんどなので数値解法を中心に学ぶ必要があるが、基礎的な理論もある程度知っておかないといけない。
フーリエ解析は偏微分方程式でも出てくるが、実務ではHestonモデルや、ジャンプを含むモデルで出てくる。
時系列分析はアルゴトレードクオンツ、ミドルのリスククオンツ、バイサイドのクオンツが使う。
機械学習は流行っているということもあり、最近はどの種類のクオンツも使っている。
上記を理解するのに必要な基礎数学は?
数学は積み上げ式なので、上記の分野を理解するには、当たり前ではあるが、以下のあたりは必須となる。
- 微分積分
- 線形代数
- 常微分方程式
- 初等的な確率論・統計学
上記に加えて、確率解析をきちんと理解するには以下を学ぶ必要があるが、これらは一部のリサーチクオンツを除いて、実務であまり使わない。
- 関数解析
- (測度論的)確率論
- 測度とルベーグ積分
- 集合と位相
その他
また、これは数学ではないが、
- 数値計算のアルゴリズム
の理解は必要不可欠である。これについては以下の記事を参照のこと。
おわりに
以上に挙げた分野について、どれくらい深く学ぶべきかについては、業務において理論的な文献の読み書きをどれくらい行うかによって、かなり変わってくる。
最近のトレンドとしては、デリバティブクオンツであっても、
・確率解析をベースにしたアプローチ
から、
・機械学習などデータドリブンなアプローチ
に変わってきている。それに応じて、必要となる数学の範囲は狭くなっている印象だが、その代わりデータアナリティクス関連を深く学ばないといけないだろう。