結論としては、
- インデックスCDSは、2社目以降のデフォルト損失も補てんされる
- FirstToDefaultスワップは、2社目以降のデフォルト損失は補てんされない
ということになる。
インデックスCDSは、指定された多数の発行体全てに対するプロテクションを提供する。
指定された発行体が100あれば、初めの1社にデフォルトが起こると、
・そのデフォルト損失の決済が行われて、
・元本が1/100だけ削減されて、
・残りの99社に対するインデックスCDSとして取引が継続される、
ということになる。
経済効果としては、指定された発行体のシングルネームCDS全てを等しい割合で売買しているのと同じである。
そのため、インデックスCDSのスプレッドは、インデックスに含まれている各発行体のCDSスプレッドを平均したものに近くなる。
しかし細かいことを言うと、スプレッドの受け払いは、デフォルトが発生したらそこで打ち切られるため、生存確率を考慮しないといけない。
したがって、厳密には、インデックスCDSのスプレッドは、シングルネームCDSスプレッドを、各発行体のRiskyAnnuityで加重平均したものになる。
ここで、RiskyAnnuityとは、RiskyPV01などとも呼ばれるが、
付利期間×ディスカウントファクター×累積生存確率
と3つを乗じたものを、残っている全ての利払いについて合計したものである。
累積生存確率は発行体によって異なるので、インデックスのスプレッドはシングルネームのスプレッドの単純平均にはならない、というわけだ。
次に、First To Defaultスワップを考える。
略してFTDとも書かれるが、これは指定された多数の発行体の中で、初めにデフォルトした発行体に関する損失だけ支払われるものだ。
2社目以降のデフォルトについては損失が補てんされず、あくまで1社目のデフォルト損失分だけが決済され、そこで取引が終了する。
FTDのスプレッドは、構成される各シングルネームのCDSスプレッドの平均値にはならないし、合計値にもならない。
FTDのスプレッドは、シングルネームのCDSスプレッドに加えて、デフォルト相関にも依存する。
デフォルト相関が低いほど、FTDのスプレッドは高くなる。
・デフォルト相関が高ければ、発行体プールの中でCDSスプレッドが最大の発行体のスプレッドに近づく。
・デフォルト相関が低ければ、発行体プールのCDSスプレッドの合計値に近づく。
直感的には、デフォルト相関が高いほど、どれかがデフォルトするときには、他もデフォルトしそうなわけだから、最も信用力が低い銘柄のシングルネームCDSだけを売買しているのと変わらない、ということになる。