2020年以降、EUではEONIAが使えない

Euro swaps market faces loss of key Eonia/Euribor basis hedge

Risk, June 2018

・EU独自のベンチマーク規制では、2020年以降、当該規制の基準をクリアしていない
金利は、ベンチマーク金利として使用できない。

・EONIAは規制の基準をクリアできないと考えられており、そうすると、
2020年以降、EONIAを参照するスワップを新規で取引することができない。

・CCPで清算されるEURスワップの割引はEONIAが用いられているため、
スワップのベンチマーク金利はEURIBORでも、EONIAの変動リスクをヘッジする必要がある。

・従来、EONIAの変動リスクは、EONIAを参照するOISや、EONIA-EURIBORベーシススワップ
をトレードすることでヘッジしてきたが、EONIAが使えないとなると、これらのヘッジ取引も
新規で行うことはできない。

・EONIAについては、以前より、EONIAを管理しているEMMI(European Monetary Markets Institute)が、EONIA OISの取引量を増やすことで、ベンチマーク規制をクリアする試みがなされてきた。

・しかしながら、EMMIは2月に、「EONIAはベンチマーク規制を遵守していることについて、担保できない」と警告するに至った。

・このことから、市場参加者は、ベンチマーク規制開始後は、EONIAを使用できない前提で準備を進めている。

・EONIAに代わるRFR(Risk Free Rate)としては、ECBが開発中だが、これはおそらく、
Money Market Statistical Reporting(MMSR)のデータに基づいてレートが決まる金利
が選択されると考えられる。

・MMSRレートは、EUR圏の銀行における、ホールセールのオーバーナイトの借入コストを反映している。

・しかし、EONIAはMMSRレートに比べて8bps程度高いため、EONIAと一致させるためには、
MMSRレート+Spreadの形でSynthetic EONIAを作らないといけない。

・ECBが言うには、MMSRレートは、2019年中には利用可能となる見通しだが、
それから準備したのでは、2020年初めまで1年しかない。

・EURIBORスワップの割引金利をどうするかがはっきりしないうちは、
相対取引を避け、LCHで清算することを選択する市場参加者が増えるかもしれない。

・なぜなら、CCPで清算すれば、割引金利はCCPの選択に従えばよいだけなので、不透明さがないが、相対の場合は、カウンターパーティとの間で、どの金利で割り引いているのか(EONIAなのか、MMSRなのか)とのコンセンサスがとれていないと、うかつに取引できなくなるからである。

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