エマージング通貨のマルチカーブ生成は、使う金利商品やコンベンションが先進国通貨とは異なる。
まず、エマージング通貨は担保通貨になれない。CSA通貨というのは決まっていて、ドル、ユーロ、ポンド、円、スイスフラン、オージー、キウイ、キャンドルである。
エマージング通貨だと、自通貨担保のディスカウントカーブをそもそも作る必要がない。通貨によってはオーバーナイトインデックスのスワップがあることもあるが、これを使ってディスカウントカーブを作ったところで、使い道がない。
エマージング通貨のスワップレートは、ドル担保ベースのクォートだと仮定してカーブを作っていく。
ドル担保のディスカウントファクターをスワップレートから直接作る。このとき、変動サイドの金利インデックスのフォワードレートもドル担保のディスカウントファクターから求める。言わばシングルカーブのようにドル担保ディスカウントファクターをブートストラップする。
エマージング通貨にもいろいろなパターンがあり、
・現地の変動金利インデックスがあり、それのスワップレートがクォートされている
・現地の変動金利インデックスがあるものの、そのスワップはあまり流動性がなく、ドルLibor3Mと交換する通貨スワップレートを使ってカーブ生成する
・現地の変動金利インデックスがなく、現地通貨の固定レートと、ドルLibor3Mを交換する通貨スワップレートがクォートされている。つまり、現地通貨の固定レグの固定レートがクォートされている
現地インデックスと交換する固定レートがあれば、それがドル担保ベースだと思ってそこからディスカウントカーブ兼プロジェクションカーブを作れる。
例えばZARやRUBなどだ。
それがないか、もしくはあっても流動性があまりない場合は、ドル変動に対する固定レートを使う場合は、これもドル担保ベースだと思って、ドルのプロジェクションカーブをインプットして、ディスカウントカーブ兼プロジェクションカーブを作る。
例えばTRYやCNYなどだ。
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