マイナス金利対応

いまさらだが、マイナス金利対応について復習しておく。

 
Black式で金利オプションを評価していると、金利をストライクで割って対数をとらないといけないが、マイナスの対数は定義できないため、エラーを吐いて計算が止まる。
 
対応としては2通りだろう。正規分布を用いるか、ShiftedLognormal分布を用いるか、のどちらがだ。
 
正規分布を用いる場合は、マーケットのNormalボラティリティをBachelier式に代入する。
 
ShiftedLognormal分布は、金利を一定幅シフトしたものが対数正規分布に従うような分布だ。
よって、フォワードとストライクをそれぞれ一定幅シフトさせたものを、Black式に代入すればいいだけだ。
ボラティリティには、マーケットのShiftedLognormalボラティリティをインプットすればよい。
シフト幅は、このボラティリティのクォートと整合的になっていないといけない。
つまり、2%シフトを前提にしているShiftedLognormalボラティリティを用いるときは、シフト幅は2%でないといけない。3%シフトを前提としているボラティリティは、シフト幅3%と一緒に用いないといけない。
ボラティリティとシフト幅は必ずセットでないといけない。
 
また、Normalボラティリティを用いている会社が、Normalモデルで金利オプションを評価しています、と書いていることが多いが、これは厳密には正しくない。
マーケットでクォートされているボラティリティを適当に線形補間などしているだけの場合は、別にプライシングモデルでバニラオプションを評価しているわけではないからだ。線形補間はモデルとは言わない。
Normalボラティリティなどのインプライドボラティリティは、それ自体がすでに価格なのである。
Normalボラティリティという単位で価格がクォートされているので、それを金額単位に変換するためだけに、Bachelier式を用いているだけだ。それは単なる価格の単位の変換公式に過ぎない。
しかしながら一方、もし仮に、ストライク方向にSABRモデルで評価している場合は、プライシングモデルを用いて評価しているといえる。このように、SABRなどのスマイル補間モデルはつまり、バニラオプションのプライシングモデルなのである。

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