はじめに
学生向け記事シリーズ。
クオンツのキャリアについて、自分の知り合いの身に起こった話をもとに書いてみる。以下では、
- 社内で異動する場合
- 社外に転職する場合
に分けて考える。
⑴社内で異動する場合
証券会社にいったんクオンツで入ると、そのままクオンツ関連でキャリアを積むケースが多い。金利、為替、クレジット、エクイティの間でクオンツが入れ替わることがある。金利のクオンツだった人がエクイティのクオンツになる、という感じだ。
あとは、デリバティブクオンツだった人が、
- 為替やエクイティのアルゴトレードのチームに移ってアルゴリズム開発をする
- データアナリティクスのチームに移ってオルタナティブデータ解析をする
といったこともある。
その他、よくあるケースとしては、
- 金利のクオンツだった人が本人の希望で金利エキゾのトレーダーになる
というパターンだ。金利エキゾのトレーダーはバミューダン、コーラブルリバフロ、コーラブルCMSスプレッドなどの商品を扱う人たちでクオンツ出身も多い。注意としては、
- クオンツからトレーダーになるのは多いが、逆のパターンは少ない
ということだ。
その他としては、銀行系証券であれば、
- 同じグループ内の銀行に異動して、そこでまたクオンツをやる
ということもあるだろう。逆も然りで、
- 銀行から証券にしばらく出向してクオンツをやり、また銀行のクオンツに戻る
ということもあるだろう。
一方、新卒採用で銀行に入った場合、証券と比べて異動先のバラエティが豊富だと思われる。しかし証券か銀行かによらず、市場部門でクオンツをやっていた人は、
- 同じ市場部門のどこかの部署に行く
ことが多い。さすがにマーケットと関係ない部署にまで飛ばされる可能性は低いと思われる。もっとも、銀行の場合は特にそうだろうが、トレーダー、セールス、企画・管理など、どの仕事をするかはわからないので注意。しかし銀行でも中途採用組はほぼ異動がないようで、同じチームでクオンツを続けることになるだろう。
⑵社外に転職する場合
この場合、自分の身の回りで最も多いケースは、
- 大学に戻る
というものだ。けっこう意外かもしれないが、このパターンが多い。要するに博士課程に進むか、既に博士持ちであればどこかの大学の教員になる、というものだ。働きながら博士論文を書き、大学でポストが見つかると会社を辞める、というパターンである。
アカデミック以外の転職先としては以下の通り。
- 証券会社、銀行のクオンツ
- システムベンダーのクオンツ
- アセマネのクオンツ
ということで、クオンツとは無関係の仕事に転職することはあまり見かけない。最近は特に、確率統計とプログラミングのスキルを両方兼ね備えていれば、引く手数多だと思われる。しかし面接ではやはり、クオンツでない人に専門的な内容を直観的に説明できるか、はチェックされる。また、30代後半以降だと、将来的にクオンツ部隊のマネジメントを任せられる人かどうか、もチェックされるだろう。
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