オートコーラブル再訪 : 投資家にとって不利な条件が目白押し

韓国ではオートコーラブルを信託スキームで売るのが禁止されるかもしれない、との記事がリスク誌に出ていた。

これによって取引量が劇的に減る可能性があるらしい。
 
韓国では以前、CMS商品で投資家が多額の損失を被る事件があった。
おそらく投資家にきちんとリスクを説明していなかったのだろう。
それによって今度は、CMS商品と同様にリスクが高い商品として、オートコーラブル商品が当局に規制されることになってしまった。
 
韓国では以前からエクイティ系のエキゾチック商品が非常に人気であり、特に一般的なものがオートコーラブルと呼ばれる商品である。
 
3ヶ月ごとに
・固定クーポンとLiborクーポンを交換する
または
・デジタルクーポンとLiborクーポンを交換する
といったものがある。
 
重要なのは、ノックアウト条項とノックイン条項が付いていることだ。
株価がアップサイドのバリアにヒットするとノックアウトする。
株価がダウンサイドのバリアにヒットするとノックインして、満期にプットオプションあるいはフォワードのペイオフが発生し、投資家は大きな損失を被る。
 
単一銘柄を参照するものと、複数銘柄を参照するバスケット型がある。
また、株価指数を参照するものと、個別銘柄を参照するものに分かれる。
 
複数銘柄を参照するものはたいてい、ワーストパフォーマンスの銘柄がペイオフで参照される。
ノックイン条項では、複数銘柄のいずれかひとつがバリアにヒットするとノックインする。
また、満期のペイオフでは、株価の変化率がワーストの銘柄について、その株価のプットの売り、あるいはその株価のフォワードが発生する。
株価が下がっているわけなので、いずれにせよ大きくマイナスのペイオフが生じる。
 
全ての銘柄がバリアを下回ったら、というのではなく、いずれかひとつが下回ったら、となっているのがポイントだ。
また、ノックインした場合のペイオフがワースト銘柄の株価で計算されるのも見逃せない。
さらに、ダウンサイドのバリア判定は、終値を参照するのではなく、日中の株価を参照する、いわゆるザラ場参照であるため、ノックインしやすい設計になっている。
要するに、いずれも投資家にとって不利な条件となっているわけである。
 
また、期中のデジタルクーポンについても、バスケット型では、全ての銘柄がストライクを上回っていないと、高いクーポンがもらえない。
1銘柄でもストライクを下回っていると、ほぼゼロのクーポンしかもらえない。
 
これだけ投資家にとって不利な条件が目白押しなのにも関わらず、
固定クーポン、あるいはデジタルで高クーポンとなった場合のクーポンが魅力的だから、ということで買う人がいるのだろう。

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