PRDCクーポンの評価方法

PRDCクーポンとは、PRDC債なる仕組債のクーポンであり、為替リンクのクーポンである。

 
15% x FX / 105 – 10%
 
といったものである。一般的に書くと、
 
rf FX / FX0 – rd
 
となる。
FXは将来のクーポンリセット日における為替レートである。
 
ドル円の為替がちょうど105であれば、15%と10%の差分で5%のクーポンがもらえる。
ドル円が円安に行くほど、たくさんクーポンがもらえるが、
ドル円が円高に行くと、もらえるクーポンが減ってしまう。
 
このPRDCクーポンの評価は、フォワード為替レートで容易にできる。
クーポンの式はFXについて線形であるから、
このクーポンの時価は、FXを、フォワード為替レートで置き換えて、ディスカウントファクターをかければよい。
 
PRDCクーポンに限らず、仕組債のクーポンには上下限が付いているものが多い。
上下限の付いたPRDCクーポンはどう評価すればよいか。
クーポンを受け取る場合は、上下限なしのクーポンを評価して、それに加えて、
・ドルコール円プットの売り
・ドルプット円コールの買い
を合計すればよい。
 
ではコールとプットのストライクはどう選ぶか。
コールの方は上限に対応しており、
 
rf FX / FX0 – rd < C
 
だから、書き変えると、
 
FX < (C + rd) FX0 / rf
 
であるから、右辺がコールのストライクになる。
 
プットの方は下限に対応しており、
 
rf FX / FX0 – rd > P
 
だから、書き変えると、
 
FX > (P + rd) FX0 / rf
 
であるから、右辺がプットのストライクになる。
 
当然ながら、これらクーポンの上下限に対応する通貨オプションのストライクはATMではないため、為替ボラティリティのスマイルを反映しないといけない。
具体的には、ストライクに対応するボラティリティを、何らかのスマイルモデルで補間・補外しないといけない。

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