CVA計算に出てくる2種類のディスカウント

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解説

将来キャッシュフローを割り引くディスカウントカーブについて、CVA計算では意味の異なる2種類のディスカウントカーブを使い分けることになる。それは、

 
・ネッティングセット内の取引評価に用いるディスカウントカーブ
 
・ネッティングセット全体で時価をネッティングし、担保を差し引いた残りのエクスポージャーを、今日まで割り引くのに用いるディスカウントカーブ
 
の2つである。
つまり、将来時点で個別取引を評価するための割引金利と、ネッティングセット全体のエクスポージャーを割り戻すための割引金利である。
 
まず1つ目の、個別取引の評価に用いる割引金利は、
有担保であれば、そのネッティングセットの担保通貨のOISカーブである。これはキャッシュフロー通貨の数だけある。
無担保の場合は、会社によって異なるが、その会社の無担保ファンディングカーブである。これもキャッシュフロー通貨の数だけある。よくあるのは、邦銀であれば円Libor6Mカーブであり、外貨には通貨ベーシスを考慮する。
 
2つ目の、エクスポージャー全体を今日まで割り戻すのに用いる割引金利については、少し頭の中を整理する必要がある。
 
まず、エクスポージャーの通貨は、ネッティング通貨であるから、有担保の場合は担保通貨、無担保の場合は無担保ファンディング通貨であり、邦銀であれば両方とも円だろう。
 
では円のディスカウントカーブのうち、OISなのか、Liborなのか、はたまたファンディングスプレッドを足した無担保ファンディングカーブなのか。
 
まずこのエクスポージャーの意味を考えると、これはカウンターパーティが倒産した後、その債権債務を清算してもらうときに受け取るキャッシュフローである。
 
ではその清算価格はどう決定されるのか。普通に考えれば、ノベーションのときと同様に、外銀などのデリバティブ業者がプライシングして清算価格を提示してくると思われる。
 
では外銀の提示する清算価格はLiborディスカウントなのか、OISディスカウントなのか、はたまた無担保ファンディングレートディスカウントなのか。
もともとの取引は無担保なのでLiborディスカウントなのかというと、そうとも限らない。有担保とみなしてOISディスカウントしてくることも考えられる。
邦銀相手であれば清算金額は円で、円Liborディスカウントか、円OISディスカウントか、円ファンディングレートディスカウントか、になるだろう。
 
しかし本邦の実務としては、エクスポージャー全体の割引金利は、有担保も無担保も円OISディスカウントになっている気がする。
 
これら2種類の割引金利は、金利や為替をシミュレーションする際のメジャー、つまり確率測度の選択と深く関係している。そのあたりは別の記事で書きたい。

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