設計されたデフォルトと、CDS契約

マニュファクチャード・デフォルトがリスク誌でまた話題になっていた。

何年か前、米国で、建設会社のホブナニアンが発行した債券を持つ、ブラックストーン傘下の金融機関が、ホブナニアンにより低利の融資をしてあげる代わりに、融資契約に、債券を部分デフォルトするとの条項を入れさせようとした。
 
この金融機関は、ホブナニアンの債券を参照するCDSを持っていたため、債券がデフォルトしてくれれば、CDSの売り手から支払いを受けられるため、この利益を元手にして、ホブナニアンに低利の融資をしようとしたわけだ。
 
当然、CDSの売り手からは詐欺だと提訴され、和解したはずだったが、この事件を踏まえ、ISDAが対応策として、このような設計されたデフォルトに対しては、売り手は支払いをする必要がないように、CDSの契約テンプレートを修正するようだ。
 
これはいってみれば、自動車保険の加入者が、意図的に自動車事故を起こして、支払いを受けようとするようなものであり、そのような場合には保険会社は支払いをしない旨が契約書に書いてあるはずである。
CDSではこのあたりのリーガルドキュメンテーションが詰めきれていなかったようだ。

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