プライシングにおけるパラメーターの分類

パラメーターというと、人によってその定義が異なるので困ることがある。

一般にプライシングでは、生のインプットデータをもとにして、なんらかの計算を行い、求まった値をパラメーターとしてプライシングエンジンにインプットする。ここでは、生のインプットデータにひと手間加えて計算して求めないといけない、特殊なインプットデータのことをパラメーターと定義する。
 
インプットデータを客観的に分類すると次のようになる。

 

 
⑴市場で観測できるクォートをそのままプライシングに用いるもの
⑵個別取引の取引条件とは関係なく、市場のヒストリカルデータから求めるもの
⑶個別取引の取引条件とは関係なく、市場のインプライドデータにキャリブレーションすることで求めるもの
⑷個別取引の取引条件に合うように、個別取引ごとに市場データにキャリブレーションすることで求めるもの
⑸プライシング対象の商品分類とは関係なく、そのモデルを適用する全商品について、フロント部署が主観的に同じ値を設定するもの
⑹プライシング対象の商品分類ごとに、フロント部署が主観的に異なる値を設定するもの
 
⑴は例えば為替のスポットや株価のスポットなどである。
⑴以外は全てパラメーターである。
⑵の典型例はハイブリッドモデルに用いるファクター相関である。
⑶の典型例はディスカウントファクターや、スマイルモデルパラメーターである。
⑷の典型例は金利の期間構造モデルのボラティリティパラメーターである。
⑸や⑹の典型例は、SABRモデルのβや、金利の期間構造モデルの平均回帰パラメーター、確率ローカルボラティリティモデルのMixingWeightパラメーターなどである。

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