スマイルモデリングの2つの観点

ボラティリティスマイルを考慮してデリバティブをプライシングする際には重要な2つの観点がある。

⑴今日のスマイルにフィットしているか。
⑵将来のスマイルの動きを表現できるか。
 
この2つの観点を明確に切り分けて考えることが重要である。
 
なぜなら、プライシングモデルには、
・1つ目はうまくできるが、
・2つ目はうまくできない、
というものもあるし、その逆もあるからだ。
 
バニラ商品のプライシングには1つ目だけでいいが、エキゾチック商品、特に経路依存の商品のプライシングには、1つ目に加えて2つ目の観点が欠かせない。
 
1つ目の、今日のスマイルにフィットしているということは、各満期に対する原資産の分布が、市場にフィットしているということである。
 
ここで分布というのは、原資産が各行使レートに到達する確率のことであり、条件付き確率ではなく、条件なしの確率である。
 
一方、2つ目の、将来のスマイルの動きを表現できるということは、原資産が動いて、スマイルの下の頂点部分が移動したとき、スマイル全体がどのように移動するか、という市場のスマイルのダイナミクスを再現できる、ということである。言い換えれば、将来からさらに将来への推移確率が、市場にフィットしているということになる。
これは将来の話なので、当然、将来の原資産がどの水準にいるか、ということに依存する。もし仮に原資産がこの水準になっていたとすると、という条件付きの話である。
 
1つ目の、今日のスマイルへのフィッティングは、条件なしの話であり、根本的に異なる。これは今日から将来への推移確率の話だが、今日というのは不確実性がなく、すでに目の前に実現している。今日の予報における、あさっての降水確率のようなものだ。
 
一方、2つ目の話は、将来からさらに将来への推移確率なので、起点となる将来が、どのような状態なのかによって変わってくる。仮に明日が曇りだったとき、明日の予報における、今日から見てあさって、つまり明日における明日の降水確率のようなものだ。これは、仮に明日が晴れていた場合には、異なる確率になっているはずであり、明日の天気の状態に依存する。将来の状態によって変わってくる、条件付き確率である。
 

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