クレジットリスクをプライシングに織り込む2つの方法

⑴割引率に織り込む方法

⑵キャッシュフローに織り込む方法
 
⑴は、リスクフリーレートにクレジットスプレッドを上乗せしたディスカウントファクターで、将来のキャッシュフローを割り引く方法だ。
クレジットリスクがある分だけ強く割り引くことになる。
この方法では、将来のキャッシュフローを、デフォルトしたか、していないかで、場合分けする必要がない。
 
⑵は、
・デフォルトした場合とデフォルトしていない場合に分けてキャッシュフローを求め、
・リスクフリーレートで割り引いて、
・デフォルト確率を考慮して期待値を求める
という方法だ。
 
式で言い換えると、
⑴は、
クレジットスプレッド込みのDF × キャッシュフロー
 
⑵は、
リスクフリーDF × 生存確率 × キャッシュフロー
+ リスクフリーDF × (1 – 生存確率) × (1 – 損失率) × キャッシュフロー
 
だが、これら2つは一定の条件のもとで同じになる。
簡単のために損失率が100%としよう。つまり、デフォルトしたら1円も返ってこない場合だ。すると、
 
⑵は、
リスクフリーDF × 生存確率 × キャッシュフロー
 
となるが、この
リスクフリーDF × 生存確率
が実は、
⑴の
クレジットスプレッド込みのDF
と同じものである。
 
生存確率は、指数の肩にハザードレートがのったものであるが、
ハザードレート×損失率
は一定の条件のもとで、
クレジットスプレッド
と同じになる。
 
損失率が1であるから、いまの場合、
ハザードレートを指数の肩に乗せたものである生存確率は、クレジットスプレッドを指数の肩に乗せたものと同じである。
 
よって、
・リスクフリーDFに生存確率をかける
ということはつまり、
・リスクフリーレートにクレジットスプレッドを上乗せした金利で割り引く
というのと同じことになる。
 
 
 
 
 

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